Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評- -24ページ目

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『リンカーン』(原題:Lincoln /2012年アメリカ/150分)

監督:スティーブン・スピルバーグ

脚本:トニー・クシュナー

原作:ドリス・カーンズ・グッドウィン著『Lincoln』

製作:スティーブン・スピルバーグ、キャスリーン・ケネディ

製作総指揮:ジョナサン・キング、ダニエル・ルピ、ジェフ・スコール

音楽:ジョン・ウィリアムズ

撮影:ヤヌス・カミンスキー

編集:マイケル・カーン

出演者:ダニエル・デイ=ルイス、サリー・フィールド、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、ジェームズ・スペイダー、ハル・ホルブルック、ジョン・ホークス、ティム・ブレイク・ネルソン、ブルース・マッギル、デヴィッド・ストラザーン、トミー・リー・ジョーンズら

100点満点中77点



 ドリス・カーンズ・グッドウィンによる伝記本『Lincoln』を原作とし、アメリカ合衆国の第16代大統領「エイブラハム・リンカーン」の最後の4ヶ月を描いた伝記作品。

 第85回アカデミー賞では、ダニエル・デイ=ルイスが主演男優賞を受賞し、美術監督のリック・カーターが美術賞を受賞しました。


 監督はスティーブン・スピルバーグで、当初は、リーアム・ニーソンを「リンカーン」役に据え、「リンカーン」生誕200年の2009年の末に公開する意向でしたが、「リンカーン」の生涯のうち、どの部分にフォーカスするかや作品の骨子をどうするかで、脚本家が数人交代したため、最終稿が上がったのが2009年2月となり、また、ニーソンが2010年に出演を辞退したことで、撮影開始が大幅に遅れ、2012年11月9日の公開となりました。




 「エイブラハム・リンカーン」を演じたダニエル・デイ=ルイス(↑上)はイギリスの俳優。1989年公開の『マイ・レフトフット』、2007年年公開の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』と今作で、史上初となる3回のアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。彼の役作りは徹底していることで定評があり、『マイ・レフトフット』ではクリスティ・ブラウンを演じるため撮影中は常に左足しか使わず、車椅子に座ったまま生活し、撮影所でも立とうとはしなかったため、ケーブルや照明の邪魔にならないように、スタッフに車いすを押してもらうなどして移動していました。また、今作では、外見を似せるため髪と髭を伸ばし、関連の書物やリンカーン自身が書き残したものを読みあさり、19世紀の生活に慣れるため、「メアリー・トッド・リンカーン」役のサリー・フィールドと当時の文体で手紙の交換を4ヶ月間行ったばかりでなく、南部訛りを徹底して叩き込んで撮影に臨んだということです。



(リンカーン本人↑)



(ルイス扮するリンカーン↑)

 その他、トミー・リー・ジョーンズ、ジェームズ・スペイダー、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットなど豪華なキャスティングです。



 特に、ジョーンズ(↑)とスペイダーの役作りはルイスに引けを取らないくらい、これまた凄い徹底振りですので、ご興味ある方は、是非、この点もご確認ください。


(あらすじ)

 1865年1月。「エイブラハム・リンカーン」は大統領に再選され2ヶ月が経ったが、4年以上に及ぶ南北戦争が未だに続いていた。

 1862年の奴隷解放宣言で奴隷は解放されたかに思えたが、この宣言で実際に解放された者はごくわずかであり、この宣言は戦時中の立法措置だったため、戦争が終結すれば、その効力は失われるのである。「すべての人間は自由であるべき」と信じるリンカーンは奴隷制の廃止をもって戦争を終結させるため、アメリカ合衆国憲法修正第13条を議会で可決させることを決意する。この頃から、彼は毎晩1人で船に乗り、どこか知らぬ地へ向かっているという不思議な夢を見るようになる。











 そんな時、奴隷制廃止の行方とは別に、敗戦濃厚な南部同盟から和解の申し出があり、南北戦争は終結の方向に進み始める。「リンカーン」の所属する共和党でも「これ以上犠牲者を出さないために、1日も早く戦争を終わらせるべき」という意見が強く、党内でも「憲法修正は二の次」という意見も出てくる。ただ、一方では、奴隷解放をかたくなに貫こうとする急進派の強硬な意見は影をひそめることはなかった。それに加え、野党民主党は憲法修正には大反対である。戦争の犠牲拡大抑止と人間としての尊厳(=真の奴隷解放)とのジレンマ、公人としての政治家の立場と家族を守らなければならない家庭人としての立場のジレンマが「リンカーン」を深く悩ませる。そして、議会対策のため出席者の2/3以上の賛成票を集めなければならないという、ぎりぎりの攻防戦に立ち向かわなければならなかった。

『リーピング』(原題:The Reaping /2007年アメリカ/96分)

監督:スティーヴン・ホプキンス

脚本:ケイリー・ヘイズ、チャド・ヘイズ

原案:ブライアン・ルーソ

製作:ジョエル・シルバー、ロバート・ゼメキス、スーザン・ダウニー、ハーバート・W・ゲインズ

製作総指揮:ブルース・バーマン、エリック・オルセン、スティーヴ・リチャーズ

音楽:ジョン・フリッゼル

撮影:ピーター・レヴィ

編集:コルビー・パーカー・Jr

出演者:ヒラリー・スワンク、アナソフィア・ロブ、デヴィッド・モリシー、イドリス・エルバ、スティーヴン・レイら

100点満点中74点


 出エジプト記にある十の災いが現代に甦る恐怖を描いたホラー・サスペンス。製作には、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」監督のロバート・ゼメキスが名を連ねています。


*「出エジプト記」・・・旧約聖書の二番目の書であり、『創世記』の後を受け、モーセが虐げられていたユダヤ人を率いてエジプトから脱出する物語を中心に描かれている。


*「十の災い」・・・古代エジプトで奴隷状態にあったイスラエル人を救出するため、エジプトに対して神がもたらしたとされる十種類の災害のことである。


1.水を血に変える(7:14-25) 2.蛙を放つ(8:1-15) 3.ぶよを放つ(8:16-19) 4.虻を放つ(8:20-32) 5.疫病を流行らせる(9:1-7) 6.腫れ物を生じさせる(9:8-12) 7.雹を降らせる(9:13-35) 8.蝗(イナゴ)を放つ(10:1-20) 9.暗闇でエジプトを覆う(10:21-29) 10.長子を皆殺しする(11章、12:29-33)


 これらの災難が、ある田舎町「ヘイブン」で次々と起こり、その原因究明を依頼されたルイジアナ州立大学の女性教師が恐怖の体験をします。




 監督のスティーヴン・ホプキンスはイギリス国籍で、1989年の『エルム街の悪夢5 ザ・ドリームチャイルド』や1998年の『ロスト・イン・スペース』も監督した人物です。最近は映画製作からは遠ざかっています。




 ヒラリー・スワンクは主人公「キャサリン・ウインター」を演じます。この役は、スーダンで、布教活動をした経験のある大学教師ですが、その経験が、あまりにも過酷で、現在では信仰心を全く失い、神の起こす“奇跡”は全て科学で説明できると考えています。スワンクは本来男っぽい顔立ちですが、今作では理知的な雰囲気は崩さず、フェミニンな化粧で登場し、やや繊細な女性を演じています。この役では、主人公が持つ“母性”が重要なファクターとなるので、その点では、役作りに成功しています。




 彼女の助手「ベン」はイドリス・エルバが演じます。彼は2011年から『マイティ・ソー』シリーズや2012年のSF作品『プロメテウス』、2013年の怪獣映画『パシフィック・リム』等に出演しています。最近になって、大作に頻繁に出演するようになりました。今作の役でも、実直で生真面目な人物を演じています。





 アナソフィア・ロブは、謎の少女「ローレン」を演じます。彼女は、2005年の『チャーリーとチョコレート工場』の「ヴァイオレット・ボーレガード」役で脚光を浴び、2007年の『テラビシアンにかける橋』や2008年のサイキック・アクション『ジャンパー』にも出演しています。TV作品にもよく出ているようです。


(あらすじ)

 かつて宣教師だった「キャサリン」は、布教先のスーダンで夫と娘を干ばつを解消するための生贄として殺され、神の存在を一切信じなくなった過去を持つ。今では信仰心を失い、人が言う「神の奇跡」は全て科学で解明することができるとして、多くの怪事件を解決した実績を持つ大学教師としてルイジアナ州立大学で教鞭をとっている。

 チリで起きた「神の奇跡」を企業の廃棄物によるものだということを突き止めた後、宣教師仲間だった「コスティガン神父」から電話がかかってくる。彼が持っている写真が突然燃え出し、冥界の神であるケレスのシンボルが浮かび上がったという。彼は不幸の前兆だというが、「キャサリン」は忠告を無視して次の調査へ出かけてしまう。

 「キャサリン」が向かったのは「ヘイブン」という長子しかいない町だった。町で教師を務める「ダグ」によると、「ローレン」という少女が兄を殺してから川の水が、血で染まったかのように赤くなったという。助手の「ベン」と川の調査をしていると木の上から死んだカエルが次々と降ってきたり、町に戻ってからもハエが大量発生したり、ウシが病気で全滅するなどの怪現象が起き始める。「キャサリン」は十の災いにそっくりな現象だとに気づきながらも、科学的証明ができると考えていたが・・・















 

『13F』(原題:The Thirteen Floor /1999年アメリカ、ドイツ/100分)

監督:ジョセフ・ラスナック

脚本:ジョセフ・ラスナック、ラヴェル・センテノ=ロドリゲス

原作:ダニエル・ガロリー

製作:ローランド・エメリッヒ、ウテ・エメリッヒ、マルコ・ウェバー

音楽:ハロルド・クローサー

撮影:ウェディゴ・フォン・シュルツェンドーフ

編集:ヘンリー・リチャードソン

出演者:クレイグ・ビアーコ、アーミン・ミューラー=スタール、グレッチェン・モル、ヴィンセント・ドノフリオ、デニス・ヘイスバートら

100点満点中75点




 『2012』の監督ローランド・エメリッヒが製作したバーチャル・リアリティを題材としたSFスリラーです。

 今作は1999年製作ということで、だいぶ古さも感じますが、あの名作『マトリックス』(1999年)の数か月前、『インセプション』(2010年)の10年前に公開された異色の作品です。

 もう少し、予算と時間を掛ければ、前述の2作品を凌駕するほどのSF大作になっていただろう

“画期的な”発想

が、今作には盛り込まれています。具体的に言えば、仮想現実の中で自由気ままに振る舞えるという技術が開発され、さらに、仮想現実の下にさらなる仮想現実を作り出せる技術も確立された近未来が舞台であるというのが今作の設定です。


 ・・・なので、やや乱暴ですが、『マトリックス』+『インセプション』=『13F』ということになるんです。(ちょっと・・・わかりづらいですね。スミマセン)


(あらすじ)

 1999年バーチャルリアリティの研究者「ダグラス・ホール」は、最高経営責任者「ハンノン・フラー」の指揮の元、コンピュータ内に1937年のロサンゼルスを再現していた。その仮想世界には、サーバーを通じ、現実世界から“意識”のみ行くことができ、プログラミングされた仮想世界にいる人物になり代わり、あたかも現実を体験するかのように、ロールプレイングすることができるのである。ある朝、彼が目覚めると、自室の洗面所に血まみれのシャツを発見する。だが、「ダグラス」は自身の記憶も曖昧になってしまっていて、なぜそんなものが洗面所にあるかは分からない。そこへ彼の上司である「フラー」が、何者かによって殺害されたという報せが入る。しかも、アリバイがなかった「ダグラス」は、その容疑者にされてしまう。

 事実を究明しようと、仮想世界を保守するエンジニア「ジェイソン・ホイットニー」の協力を得て、バーチャル世界のロサンゼルスに行き、事件について調べる「ダグラス」だが、そこで分かったことは、「フラー」が現実世界と1937年の仮想のロサンゼルスとを頻繁に行き来し、現実ではできない享楽的な“私的”生活を送っていたことや、ある重大な発見をしたということを突き止める。そして、「ダグラス」は無意識のうちにこの仮想現実の世界に巻き込まれていたという事実を知る。