飛行機の中から、地上の夜景を見るのが好きです。

ヨーロッパの遥か上空を飛んでいくときに見える街の夜景は、
橙色の宝石の、黒い岩に埋まった原石のようです。
薄いナイフを差し込めば、オレンジの光が零れ出てきそうな、
そんな眩い塊です。

昨日、初めて通過するスリランカの夜景を見た瞬間には、
とある人工石の煌めきを連想しました。
手の中で転がすと練り込まれた銅粉が一つ一つ輝いては消える、
深い紫色のガラスで出来た紫金石です。



現れては消え、消えては現れる光の粒たちを眺めながら、
サン=テグジュペリの「人間の土地」と、
彼へのオマージュで創られたラピュタの「君をのせて」を思い出しました。
彼が序文を書きながら連想したのも、こんな光だったのかしら。



光の塊だったら「まぁきれい」で終わりになるのに、
一つ一つの粒がいちいち瞬くから、どうしても怖くなります。
現地語も覚えて来なかったこの土地で、私は一体幾つの輝きを間近に感じるんだろう。
いや、どれだけ丁寧に拾って、その重みを心に刻もうとするのだろう。


想像力を働かせることにかまけて、地に足がついていない自分を試されるようです。
そんな思いを反芻する、スリランカ滞在2日目の夜でした。