■第908回 食品安全委員会

日付:令和5年8月1日(火)
 

議題

 

(1)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見について

・農薬「イソピラザム」に係る食品健康影響評価について

・農薬「プロシミドン」に係る食品健康影響評価について

・薬剤耐性菌「ツラスロマイシン及びケトプロフェンを有効成分とする牛の注射剤(ドラクシンKP)」に係る食品健康影響評価について

(2)  その他

 

審議の内容

 

(1)  食品安全基本法第24条の規定に基づく委員会の意見

 

○ イソピラザム

 

イソプラザムについては、過去に評価したことがあります(2022年5月31日に第4版を答申)。今回企業から、この農薬をもも類にも使用したいとの申請があったことや、この農薬を使用した、その他なす科の野菜を輸入する計画があることなどから、本年5月24日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請があり、農薬第四専門調査会で審議を行いました。

 

今回、作物残留試験(国内:もも、海外:とうがらし)並びにヒト培養肝細胞を用いた細胞増殖及び薬物代謝酵素誘導の検討試験(in vitro)の成績等が新たに提出されましたが、各種毒性試験の結果から、許容一日摂取量(ADI)=0.055 mg/kg 体重/日、急性参照用量(ARfD)=0.3 mg/kg 体重と設定しました。

 

〇 プロシミドン

 

プロシミドンについても、過去に評価したことがあります(2021年2月16日に第3版を答申)。企業から、この農薬を畜産物にも使用したいとして追加資料の提出があったことから、本年5月24日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価の要請があり、農薬第四専門調査会で審議を行いました。

 

今回、家畜代謝試験(ヤギ及びニワトリ)、畜産物残留試験(ウシ)の成績等が新たに提出されましたが、毒性に関する試験成績の追加提出はなく、ADI=0.035 mg/kg 体重/日、ARfDについては、妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対して0.035 mg/kg 体重、一般の集団に対して0.3 mg/kg 体重とそれぞれ設定しました。

 

これら2つの農薬に関する審議結果については、指標に変更がなかったことから、意見・情報の募集は行わずに厚生労働大臣に通知することとしました。

 

〇 ドラクシンKP

 

マクロライド系抗生物質であるツラスロマイシンを有効成分とする動物用医薬品については、過去に評価を行ったことがあります(2015年7月14日に第1版を答申)。企業からツラスロマイシン及びケトプロフェンを有効成分とする牛の注射剤について、動物用医薬品としての製造、販売に向けた承認申請があり、2022年12月7日付けで農林水産大臣から食品健康影響評価の要請がありました。これを受けて、薬剤耐性菌ワーキンググループにおいて薬剤耐性菌に関する評価を行いました。

 

新たに、ツラスロマイシンの使用状況、畜産現場における耐性の状況、牛由来食品の消費量及び食中毒菌汚染状況等に関する更新データ等の新たな知見が提出されましたが、本製剤の薬剤耐性菌を介した影響については、

・評価対象動物用医薬品が、牛に使用された結果としてハザードが選択され、牛由来の畜産食品を介してハザードがばく露され、人用抗菌性物質による治療効果が減弱又は喪失する可能性は否定できない。そのリスクを推定した結果、リスクの程度は低度であると判断するとともに、

・薬剤耐性菌については、現時点では詳細な科学的知見や情報が必ずしも十分とは言えず、また、リスク評価の手法についても国際的にも十分確立されていないと考えられるため、国際機関における検討状況等を含め新たな科学的知見・情報の収集が必要であるとしました。

 

この審議結果については、既存の評価結果に影響を与えるものではなかったことから、意見・情報の募集は行わずに農林水産大臣に通知することとしました。

 

当日の会合資料は下記をご参照ください。後日、議事録も公開します。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20230801fsc