親業の過程で子どもを見ていると
ちょっとしたことがきっかけで
幼ない頃のできごとを思い出すことがあります。


小学校の同年代にT君という人がいました。
ちょっと泣き虫だけどおだやかな性格の男の子でした。

T君も私も大柄な子どもで
いつも後ろでふたり席を並べていました。

ちょうど今の娘と同じくらいの年齢の頃
何かの拍子に会話が弾んで
話し込んでいたら

お約束の
「あ~!おまえらあやしい!!」

まわり中からはやしたてられ焦った私は
「ちがうちがう、そんなんじゃない。全っ然なんとも思ってない!!」
と強く否定しました。

突然T君が声をあげて泣き出しました。

今度は
「あ~あ泣かせた!!」
「せんせー、T君を泣かせてまーす」

で、叱られる羽目に。

私自身も状況を理解できないまま
必死に経緯を説明したところ

「・・・っっっとにおまえバカだな!!」
先生は吐き捨てるようにのたまいました。



10歳頃の私にとって
先生は神にもひとしいほどの絶対の存在だったのに。
その先生からバカよばわり
しかも汚いものを見るような目で。

その周りではまた
「お~こられた おっこられた~」

T君は泣きやまないし。

怒涛の一日でした。



むずかしい年齢にさしかかりつつある娘を見ながら
そんなこともあったなーと思い出しているうちに
はたと思い当たりました。

自惚れかもしれないし
自意識過剰かもしれませんが
もしかして・・・・・・・?

だとしたら先生は正しかった。
確かに私はバカでした。

でも10歳の私にはクリアできない超難問でした。
身長ばかりが伸びて心は幼いままの私には。
そんなややこしい感情を知るのは
もっともっと後になってからだったし。


いまさらですがT君ごめん

本当になんとも思ってなかったんです。


…だからそうじゃなくってパンチ!


幼すぎてごめんなさい。

でも、同年代の男の子たちの中では
一番親しみを感じていました。

ほかの男の子たちは
乱暴で騒がしくて落ち着きがなくて
正直苦手でしたが
T君は苦手じゃなかった。
そういう意味では特別な存在でした。


10歳の彼はそれでゆるしてくれるかな。