雙葉中の理科の入試問題より | NPOニホンオオカミを探す会『井戸端会議』

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前項で少し触れた、シベリアの永久凍土の中から見つかった3万年前のオオカミに引き続き、バングラディシュで70年ぶりにインドオオカミが見つかりました。
インドには飼育されたものも含め3000頭くらいは生き残っているらしいのですが、バングラディシュでは1949年に確認されて以来の事とか。
そんな情報を寄せてくれたのは空手の弟子のS君ですが、「インドオオカミは発見されたので次はニホンオオカミですね。」のコメントが添えられていました。
今は未だ詳細を記せませんが、その為の準備を着々と積み上げているのは事実です。
そんな事も手伝って、この欄での投稿が遅れている訳です。

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バングラデシュの町で殺されたインドオオカミ
 
ネットサーフィンをしていたら、稀に見る文面を見つけました。
栄光ゼミナール吉祥寺校、久道知良講師が2016.05.28(Sat)に「雙葉中の理科の入試問題より」として、記した文面です。
中学入試問題ですから対象は小学6年生と云う事になります。
超が付くほどの難関校とは言え、中学入試でこんな問題が出されている事に驚いたと同時に、是非皆さんに読んで戴きたいと思った次第です。
部分的に首を傾げたくなる箇所も有りますが、全体的にはとても優れた文面だと思いますので、途中で投げずに最後までご覧下さい。
下記がその全文です。

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栄光ゼミナール、久道知良講師
 
【本年度の雙葉中の大問1では、食物連鎖に関する総合問題が出題されました。
食物連鎖ピラミッド、外来生物、生物濃縮といったように食物連鎖に関する幅広い内容が凝縮されている大変興味深い問題でした。
この大問の中に、およそ100年前に絶滅した「ニホンオオカミ」に関する出題がありました。

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学校法人雙葉学園
 
ニホンオオカミはかつて本州、四国、九州に生息していたオオカミの一種で、過去50年間生存が確認されていないため現在は絶滅種となっています。
(これは「絶滅」したことを示す決まりごとで、中学入試でも出題されています。)
なぜ絶滅してしまったのか・・・は後で書きます。
 
小型~中型の草食動物、雑食動物の多くはニホンオオカミの捕食の対象であったと考えられています。
ニホンオオカミが絶滅するとニホンオオカミを天敵としていた、ニホンジカ、イノシシ、ニホンザルなどが大繁殖し、数が莫大に増えることとなりました。
その結果、数が莫大に増えたこれらの動物たちは、エサを求め森林、人が作った農作物を食い尽くし、生態系に大きな影響を与えることとなりました。
「北海道でエゾシカが増えすぎて・・・」というテーマは過去の武蔵中の入試問題でも出題されています。
 
さて、増えすぎたニホンジカ、イノシシ、ニホンザルの数を減らし、元の生態系により近づけるためにはどのようにすれば良いでしょうか。
この解決策の一つとして、「ニホンオオカミに近いオオカミを日本の森林に放ち、過去に近い環境をつくる」という案が挙げられました。
(これは現在でも策が練られています。)過去に同じような事例があり、アメリカで成功した一例がある、ということが背景にあります。

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この考え方に私は反対です
 
では世界のどこからか、ニホンオオカミに近い種類のオオカミを日本に連れてきて野山に放ってみましょう。
どのようなことが起こると考えられますか。
どのようなことが起こるか考える前に、少し違う話をします。
 
みなさん、多くの植物の種子が発芽するための条件として、水、空気、適当な温度の3つの条件が必要ですね。
では、なぜこの3つの条件が必要かを理解していますか。
 
今回は「適当な温度」に着目します。
なぜ種子は「適当な温度」で発芽するのでしょうか。
数え切れないくらい長い歴史の間に、その環境に適した進化をした植物だけがその場に適応し、生き残ることができました。
 
つまり、「適当な温度」とは、その場でその植物が生育するために進化した結果、その場で生き残るために必要な生育条件なのです。
少し気温が低いとその年に生育するその植物の数は少し減ってしまうかもしれません。
しかし、自然環境の中での「少しの増減」であれば、長い年月の間で見た場合数を大きく変化させることはありません。
カントウタンポポを何もせずにそのまま北極に持って行ったらどうなるか?という予想と比べて見て下さい。
後者は絶滅します。
 
つまり、その場所に生えている植物は、その場所で生き延びていくことができるよう、環境に適応して進化した植物であると言えます。

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今泉吉典著「分類から進化論」
 
少し話がそびれてしまいましたが、世界のどこかからオオカミを日本につれてくるとどうなるのでしょうか。
野山に放つオオカミが、どんなにニホンオオカミと近い亜種であっても、またニホンオオカミと共通の祖先を持つものであっても、絶滅したニホンオオカミとは違う種類のオオカミです。
どんなに近い環境で育っていても、日本、四方を海で囲まれた環境とまったく同じ環境で育ったオオカミはいません。
したがって、外国から連れてきたオオカミは日本の環境に100%適しているとは言えない、ということです。
この状態になると、元々日本にいる動植物はもちろん、日本に持ち込まれた新たなオオカミも含め、生態系に大きな影響を与えてしまうことが予想されます。
 
ではなぜニホンオオカミは絶滅してしまったのか。
人間が野山を切り開き、ニホンオオカミの生息地を減らしてしまいました。
また、かつてはニホンオオカミを猟犬としていた人間がニホンオオカミを駆除してしまったことが原因です。
 
人間はなぜニホンオオカミを駆除してしまったのでしょうか。
 
オオカミが人間を襲う、という先入観があるかもしれませんが、ニホンオオカミはイヌほどの大きさで単独行動をしていたと記録されています。
また前述の通り縄文時代は猟犬として人間と共存してきました。
ニホンオオカミは人間を襲うことはほとんどありません。
ではなぜ?

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岸田日出男著「日本狼物語」

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北越雪譜「雪中狼入人家図」
 
オオカミは動物なので伝染病にかかります。
狂犬病などです。
狂犬病のウィルスを持ったオオカミにかみつかれた人間にも狂犬病のウィルスは感染します。
もし、狂犬病が大流行したとすると、私たち人間の生活に大きな影響を与えることとなります。
 
また、ニホンオオカミの生息地はなぜ減らさなければならなかったのか。
その時々で細かい背景は違いますが、人間が科学技術を発展させ、生活をより良いものにするためには自然環境のある程度の破壊は致し方なかったことであると言えます。
実際、その過去がなければ今の私たちの生活はありません。
 
少し難しい話になってしまいましたが、様々な背景があったとしても、人間が環境を破壊してしまったことは事実です。
しかし、その事実がなければ人類の科学技術の発達、または私たちの生存はなかったことかもしれません。
大切なことは、自然環境を壊してしまったという事実を前提として、これ以上壊さないように、今いる動植物たちと人間が共存できるような環境をつくり出していくことだと考えます。

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描かれたニホンオオカミ-1

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描かれたニホンオオカミ-2

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奈良の神鹿を襲ったオオカミ
 
みなさんに身につけてもらいたい力
ただ単純に物事を詰め込むのではなく、
なぜ?どうして?を大切にしながら、常に考え続けることです
 
雙葉中の過去の入試問題でこのような問題がありました。
 
オニヒトデはサンゴを食べ、サンゴ礁を破壊します・・・(略)
オニヒトデを人間の手で完全に取り去ろうと思います。
このことに関して、賛成か反対かを答え、その理由を書きなさい。
 
みなさんならどう答えますか?
頑張れ!受験生!】
 
受験生では無いこの文面をお読みになった皆さん。
如何でしたでしょう。