子どものための教育学

 

第3章 不登校編

 

4 不登校を乗り越える一つの提案

 

(3)家にいるときの生活は

 とはいうものの、家にいる毎日をどのように過ごさせるかが心配だと思います。また、大切な時間でもあります。

 

 まず気をつけなくてはいけないことは、不登校だからといって、特別扱いをしてはいけないということです。

 

 言い換えれば、「当たり前のことを当たり前にできるようにしよう」ということです。

 

 不登校だからといって、子どもの機嫌を取りながら、子どもが自分でできることまで親がやってしまうことがないようにしなくてはいけません。

 

 不登校という現象を理解することは難しくても、我が子をまるごと信じることはできます。腫れ物に触れるように関わることは、かえって子どもに不安を与えてしまいます。

 

 たとえば、後片付け。

 不登校の子どもは当然甘えてくる場面もあるでしょう。自分でできることまでも「お母さんやって」と言うこともあるかもしれません。

 

 そんな時こそチャンスです。

 

 「あなた、自分でやれるでしょ」ではいけません。

 

 「じゃあ、お母さんと一緒にやろうね」と、一緒に行動することです。

 

 そうすることで、子どもの気持ちを受けとめたことになりますし、何よりもお母さんと同じ時間を共有できたことで、「安心・安全欲求のコップ」を満たしていくことになります。

 

 不登校児童は、「安心・安全欲求のコップ」が、枯渇している状態なのです。これが満たされると次へのステップへと進めます。

 

 ポイントは親子の共同作業です。

 

 そして、生活のリズムが大切です。

 

 不登校で回復が難しい子どもの多くは、生活のリズムが、昼夜逆転していたりして、とても学校生活に戻れる状態ではありません。

 

 不登校が始まったときに一番大切にしたいことは、学校と同じリズムで生活させることです。

 

 不登校だから、いつ寝て、いつ起きてもいいという生活が認められるわけではありません。

 

 家でも学校でも同じリズムで生活する。これができていれば、学校に行きたくなったとき、自然に戻ることができます。

 

 ところが、生活のリズムがぐちゃぐちゃだと、学校に戻ったとき、学校のリズムで生活することが辛くなり、楽にできる家に戻ってしまいます。つまり、本来の不登校とは違った、怠校という症状に変わっていくのです。

 

 そうならないためには、生活のリズムを大切にしなくてはいけません。

 

 朝食は決まった時間に家族で食べる。

 

 学校と同じ時間帯で学習する。学習内容は、先生にアドバイスをもらいながら子どもと一緒に相談しながら決めていくことも良いでしょう。

 

 学校と同じように休憩時間を取り、昼食の時間も毎日同じ時間で、できる限りお母さんと一緒に食べる。準備や片付けもできることをやる。

 

 掃除の時間は親子で家の掃除をする。

 

 そうした生活を学校と同じようにすることができれば、いつか登校するようになっても心配はありません。

 

 それから学習面では、生活科や総合という名目で、郊外に親子で出かけていっても良いと思います。

 

 春見つけとして、お花見に出かけ、そこで桜の花の絵を描けば、図工の作品のできあがりです。

 

 総合といって、1日動物園で動物の観察をして、観察記録を取ることもできるでしょう。

 

 冬なら、体育の授業として、スケートやスキーに出かけることもできます。

 

 どうせ休むんですから、親子で多くの思い出を作りながらも、学習につなげていけるのです。

 

 そうした、親子で時間を共有することによって、「安心・安全欲求のコップ」は、満たされやがて溢れ始めます。そうすると、子どもの口から「学校行ってみようかな」と、「所属と愛の欲求」へと進み始めるのです。

 

 「安心・安全欲求のコップ」が満たされるまでに教えておきたいことは「大人になった時にできなくては困る」ようなことです。

 

 「よく気がついてやる気が多い。」

 「大変でも面倒でもやるべきことはやる。」

 「真面目、正直、礼儀正しい。」

 加えて

 「明るく,人づきあいがうまい。」

もできればさらに良いです。

 

 ポイントは、「よく気がついたとき」には、それを喜んであげることです。それによって、意欲が生まれます。

 

 「大変で面倒なこと」は嫌がります。そんな時は、親子で一緒に頑張りましょう。一人ではできなくても、一緒ならできます。そしてその経験が、「大変でも面倒でもやるべきことはやる。」力を育んでいきます。

 

 「真面目、正直、礼儀正しい。」は、親がお手本となってください。親の姿を真似します。