No.7「出会う、つながる、学びが力に」挑戦内容:やりたいと思ったら、一歩踏み出す | 挑戦記インタビュープロジェクト

挑戦記インタビュープロジェクト

キャンサーペアレンツ会員たちの挑戦記をご紹介していきます。




名前:宮本 幸
年齢:39歳
仕事:看護師
家族構成:夫、娘2人(12歳、9歳)、息子2人(6歳、5歳)
疾病:乳がん
罹患時年齢:36歳
概要:2017年6月、セルフチェックをした際に右胸のしこりを発見。病院で検査をし、乳がんの診断。同年10月に右胸全摘手術+同時再建術。術後抗がん剤治療。その後ホルモン剤内服中。


◆がん宣告前後◆
Q・がん宣告前後の状況を聞かせてください。
2017年、緩和医療学会という学会参加中に、小林麻央さんの訃報を聞きました。

数日後ふと小林麻央さんのことが過(よぎ)り、「乳がん検診は定期的に行っているものの、ここ数か月セルフチェックをしていなかったな」と気づき、実施した結果、しこりを発見。なんとなく動揺していた気がします。

翌日すぐに乳腺科のクリニックを予約し受診。「知人が……」と言って先輩にメールし、病院の相談などをしていました。先輩には、私のことだとすぐに分かってしまったようですが。

その後、職場で一緒に働いている医師に専門病院を紹介され受診。検査をし、後日乳がんの告知を一人で受けました。

医療従事者なのに恥ずかしいのですが、手術をするまで現実逃避傾向にあった気がします。

外来看護師をしていたため、患者さんの告知の場面にも立ち合うこともしばしば。そこで「がん」と聞くたびに、自分に突き刺さる感覚もあり、今までになかった疲労感を感じていた時期もありました。

Q・そのときの心境はいかがでしたか?
セルフチェックでしこりをみつけた時、直感的に「悪性だろう」と覚悟はしていました。検査の結果は一人で聞きに行きましたが、先生から聞く前にカルテの「悪性」の文字が見え、途端に涙が出ちゃいましたね。

けどすぐに、「泣いてる場合じゃない、私看護師なんだからしっかりしなきゃ」と自分でもよく分からない気持ちで、今後の検査の説明などを受けた気がします。

説明を聞いた後も、「自分が?」「がん?」と受け入れてるつもりだけど受け入れられてないみたいな感じでした。

Q・そこからどのように頭を切り替えていったのですか?
切り替えられていたかは分かりませんが、外来で接する患者さんたちの存在にすごく支えられていた気がします。もちろん、職場の方たちにも支えられました。

告知を受けた時に多分抗がん剤はやることになるだろうと思っていたので、人生初というくらいのベリーショートに髪の毛をカットしました。

あるとき、その変化に患者さんが気づき、「どうしたの? もしかして失恋?」なんて冗談を言ってきたので、私が、「大失恋じゃないですか!」と微笑して返答したんです。すると、「もしかして(がん)同士?」って聞かれたので、「そうかもしれません」と返答したら、両手で私の手を握ってくれて、「大丈夫だからね。一緒に頑張ろうね」と言ってくれたんです。

他の患者さんたちにも、「一緒に頑張ろう」とか、「経験してる方がいると何か心強いよ」なんて言葉をかけてもらい、「患者さんたちもみんな頑張って治療してきてるんだ。私だって頑張らなきゃ!」と気持ちを持ち上げていました。

抗がん剤あるある話や副作用の悩みとかも一緒に話せて。気持ちのアップダウンはありましたが、患者さんと接せるときは何だか落ち着けている自分もいましたね。



◆挑戦について◆
Q・現在、どんな挑戦をされているのですか?
挑戦とまでは言えないのかもしれませんが、知りたいことや行きたいところ、やりたいことがあったら、「まずはやってみよう」と行動するようにしています。

バドミントンを再開したり、「CancerX Summit 2020」というイベントのボランティアスタッフに挑戦したりもしました。今年3月からの訪問看護への転職も挑戦かもしれません。

がんだけでなく色んな分野のことを知りたいという気持ちもあり、興味ある講習やイベントに足を運んだりもしています。

Q・なぜその挑戦を始めようと思ったのですか?
バドミントンは学生時代にやっていて、専門学校に入ってから離れていたのですが、たまたま同級生のお母様(60歳代)に誘われて始め、やっぱり楽しいと思え再開しました。

2019年に「CancerX Summit 2019」というイベントに参加したのですが(キャンサーペアレンツ代表のぐっちさんも登壇されていました)、今までにない、いい意味での衝撃を受けました。

Summit 2020ではボランティアスタッフの募集があり、何かできればと思い参加しました。

転職は、ずっと総合病院に勤めていたのですが、自分が病気になって、みたい看護、やりたい看護が変わってきたのかもしれません。

講習やイベントに参加すると、必ずと言っていいほど魅力ある人たちに会え、つながって、刺激を受け、学びも多くて、自分で足を運ぶことの意味を感じています。

キャンサーペアレンツでやった「ママのバレッタ出版記念感謝の集い」はそのきっかけをつくってくれたイベントの一つでもあります。





Q・その挑戦は宮本さんにとってどんな意味を持っていますか?
CancerXのボランティアスタッフは正直自分の頭とは思考回路が全然違っていて、微々力だったと思います。ただ、ここで出会えた人たちもまた刺激的な方たちが多く、自分の中で学びとなりいい経験になったなと思っています。

転職活動は無事終わり、2020年3月から新たな仕事が始まります。不安はありますが、楽しみでもあります。

講習、イベントに足を運ぶことで得られる感情だったり、出会える人たちは、「頑張ろうと」と思えるエネルギーになっていると思います。

もちろん、育児もちゃんとしなきゃですけど(汗)。



◆皆様へメッセージ◆
Q・これから何かに挑戦しようとしている方に、挑戦することの重要性を伝えてください。
私自身がそうなのですが、大きな事にチャレンジしようと思わなくてもいいのかなと思っています。

「一歩踏み出す」、これだってある意味チャレンジだと思っていて。ただ、踏み出したことで得られるものは決して小さくないと思っています。

踏み出してみて、このタイミングじゃないかなと思ったら、休息をとっていいと思うし。

実際に私、多分がむしゃらに突っ走ってた時期があって、ある講習を受講したときに涙が止まらなくなって、退室させてもらったことがあったんです。

以前お世話になったことのあるスタッフさんから、「頑張ってると思う。けど、多分まだ時間が必要なんだよ」と声をかけてもらって……。

自分の熱量のコントロールができてなかったことに気づけました。今でも時々突っ走りそうになるんですけどね。だから、休息が欲しいと思ったときはしっかりその時間をとることも大切だと感じています。

誰かのサポートが必要な時は、遠慮することなく力を借りて挑戦してみてもいいじゃないかなと思います。

……宮本さん、本日はありがとうございました!

(了)

【取材日:2020年2月13日】