第104話 好き、の一言が その13 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「えっ、噂って?」

 

「高校の文化祭で公開告白があったって。それで選ばれたのがゆうや、あんただって」

 

「ど、どこでそんなっ!」

 

 オレは慌ててしまった。けれど、よく考えてみればあの劇を見ていたのは学生だけじゃなく、その保護者や地域の人たちも見ることができるんだから。オレやまゆりちゃんの知り合いが見ていてもおかしくはない。

 

「で、まゆりちゃんとはどうなったのよ?」

 

「どうって…まぁ、まだ付き合い始めたばっかだし」

 

「あんたからはちゃんと告白したの?」

 

 そう言われてドキッとした。そしてちょっと落ち込む。それがまだだから、はやとに叱られたんだった。

 

「その表情じゃまだみたいね。ったく、もっとシャキッとしろよ。男の子だろっ!」

 

バシッ

 

 思いっきり背中を叩かれる。

 

「シャキッとしろって言われてもさぁ…オレ、こういうの初めてだし」

 

「うーん、そうだなぁ。あ、あんた土曜日は時間とれる?」

 

「土曜日って、部活の練習があるんだけど。あ、でも午前中は文化祭の片付けでまだ卓球場が使えないからそこなら時間あるけど」

 

「よし、じゃぁ面白いところに連れてってあげる。九時には迎えに行くから」

 

「面白いところって?」

 

「それは土曜日のお楽しみっ!」