第101話 ボランティア命 その13 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 なんだか意外だった。時長さんは耳の聞こえない人のために手話サークルに参加していたとばかり思っていた。けれど、自分の生きがいのためにやっていたとは。

 

「うふふ、なんだか意外って顔してるわね。長田さん、まずは自分を満たすこと。これがとても大切なのよ。そうじゃないと、本当のボランティアはできないわよ」

 

「本当のボランティア?」

 

 時長さんの言っている意味がよくわからなかった。ボランティアに本当とかウソとかあるのだろうか?

 

「ま、ここのコーヒーを飲んでみたら、その意味がわかると思うわよ。そうそう、ここのクッキーも美味しいのよ。すいませーん、さっきのコーヒー、クッキーのセットでお願いしまーす」

 

 またまた時長さんは勝手に注文をすすめる。どうしてコーヒーを飲めばその意味がわかるのだろうか?いったいここのコーヒーにどんな秘密が隠されているんだろうか。

 

「そういえばさっき、長田さんのお父さんはボランティアをやることで仕事につながったって言ってたわよね」

 

「はい。そのおかげで周りからの信頼を得られたから、町の小さな雑貨屋でもやっていけるって言っていました」

 

「じゃぁお父さんも本当のボランティア、やっているんだね」