第100話 盗人の心 その11 | 【小説】カフェ・シェリー

【小説】カフェ・シェリー

ここは喫茶店、カフェ・シェリー。
登場するのは40代の渋いマスターと20代の店員マイ、そして主人公はお客様であるあなた。
そこで体験する、魔法のコーヒー「シェリー・ブレンド」の味で、お客様は何かに気づき、そして希望を持っていく。
そんな喫茶店のお話です。


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 だが、次の瞬間、子どもの頃の光景が頭に浮かんできた。あれはまだオレが小学校の低学年の頃だったと思う。おふくろからこっぴどく叱られたことがあった。

 

 確かあれはお金がなくなったとかじゃなかったかな。やたらとおふくろにこっぴどく叱られた記憶がある。

 

「またお前は嘘をついてごまかそうとする。正直に言いなさい!」

 

 確かにオレは小さい頃、嘘つきだった。というのも理由がある。我が家は母子家庭で、おふくろは他の男に頼るような生活をしていたため、いつもオレは一人ぼっちだった。だから嘘をついておふくろの関心を引こうとしていた。そんなことを繰り返していたから、オレが本当のことを言っても信じてもらえなくなった。

 

 結局、お金は当時おふくろが付き合っていた男がおふくろの財布から盗んだんじゃなかったかな。けれど、あのときにオレはこう思った。結局本当のことを言っても、誰も信じてもらえない。だからオレは人を信じないし、人のものを奪ったほうが楽だって。そのあたりからオレの盗人人生が始まった気がする。

 

 けれど、オレは本当は信じてもらいたかった、自分のことを。あのとき、おふくろがオレのことを信じてくれれば、別の人生を歩んでいたかも。

 

 

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