第100話 盗人の心 その10 | 【小説】カフェ・シェリー

【小説】カフェ・シェリー

ここは喫茶店、カフェ・シェリー。
登場するのは40代の渋いマスターと20代の店員マイ、そして主人公はお客様であるあなた。
そこで体験する、魔法のコーヒー「シェリー・ブレンド」の味で、お客様は何かに気づき、そして希望を持っていく。
そんな喫茶店のお話です。


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「ところで右松さんは、毎朝歩いているのは健康づくりのためですか?」

 

「え、えぇ。本当はマスターみたいにジョギングするのがいいのでしょうが」

 

 突然質問されて、ちょっとドギマギしてしまった。あわてて返事を返したが、そこは大丈夫だろう。

 

「右松さんってご家族は?」

 

「恥ずかしながらこの歳まで独りなんですよ。ま、見ての通りの中年ですから。もうそこは諦めてます」

 

「そんなことはないですよ。私だってまさかこんな歳でマイと結婚できるなんて思わなかったですから」

 

「あれ、思わなかったんだー。いっつも言っていることと違うじゃない。右松さん、マスターはいつもみんなに、思ったことはかならず叶うんだぞ、なんて言っているんですよー」

 

 ウエイトレスの奥さん、マイさんが笑いながらそう言う。

 

「ははは、まぁ人生には思わぬ出来事も起こるもので。はい、おまたせしました、シェリー・ブレンドです」

 

 なかなか賑やかな夫婦だな。歳の差をあまり感じさせないのがいい。

 

「じゃあ、早速いただきます」

 

 運ばれたコーヒーを鼻に近づける。あれっ、コーヒーってこんなにいい香りがしたっけ?

 

 続いてコーヒーを口の中に入れる。苦味と酸味、そしてコクが広がる。うん、うまい。

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