第100話 盗人の心 その9 | 【小説】カフェ・シェリー

【小説】カフェ・シェリー

ここは喫茶店、カフェ・シェリー。
登場するのは40代の渋いマスターと20代の店員マイ、そして主人公はお客様であるあなた。
そこで体験する、魔法のコーヒー「シェリー・ブレンド」の味で、お客様は何かに気づき、そして希望を持っていく。
そんな喫茶店のお話です。


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「右松さん、ですね。お仕事は何をされているのですか?」

 

「あ、仕事は普通のサラリーマンですよ。今日はたまたま商談があって時間が空いたので、喫茶店にでも寄ろうかと思って入ったらあなたがいてびっくりでした」

 

 つじつまあわせの嘘をつく。バレてないよな。ちょっとドキドキしながらではあったが、幸いマスターはニコニコしながら私の顔を見てくれている。おそらく大丈夫だ。

 

「そうですか。ぜひうちの自慢のオリジナルブレンドを飲んでください。きっと驚きますよ」

 

「じゃぁ、それを一つお願いします」

 

 そう言いつつも、仕事柄の癖なのかつい店内を見回して物色を始めてしまう。店の広さはそれほど大きくはない。今私が座っているカウンターが4席、真ん中の丸テーブルに3席、窓際の半円型のテーブルに4席。十人も入れば満席か。純喫茶であるため、メニューもコーヒーばかり。それほど客単価が高いとは思えない。せいぜい五百円からよくて千円程度だろう。

 

「これだと一日の客数が五十人としても、稼ぎは3〜4万円程度か」

 

 ふと頭の中で計算。それが三十日としても、一ヶ月の売上はよくても百万円。利益なんてかなり低い。ちょっと盗みに入るのは申し訳ないな。

 

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