「もし何かあったら、ここに連絡して。病院とか行くことがあったら、必ずね」
そう言ってお姉さんは名刺を渡してくれた。その名刺にはCafe Shellyと書かれてある。コーヒーのマークが入っているところを見ると喫茶店のようだ。
「お互いに急いでいるようだから、またあとでね」
そう言ってお姉さんは車で走り去っていった。嫌な感じはしない。むしろ誠実で、安心できる人だって思った。よく考えてみれば、お姉さんの連絡先は教えてもらったが、私の連絡先は教えていない。むしろ私も加害者側なのに。
「あ、いけない。咲良!」
私は慌てて、そして今度は慎重に駅へと向かった。
それから咲良にお金を貸して、無事に学校へと向かうことができた。
「ホント、咲良はドジなんだから」
「てへへ。お詫びに明日おごるからさ。今日は金欠だから」
ここでふとあることを思いついた。
「咲良、おごりはいいから今日の放課後、私につきあってくれない?」
「えっ、のぞみとお付き合いするの?とうとうのぞみが私に告白してくれたかぁ〜」
「なぁにバカなこと言ってんのよっ。ちょっと行きたいところがあるの」
「どこなの?」
「うん、喫茶店」
そう言ってお姉さんの名刺を取り出した。