第96話 デジタルの中の命 その11 | 【小説】カフェ・シェリー

【小説】カフェ・シェリー

ここは喫茶店、カフェ・シェリー。
登場するのは40代の渋いマスターと20代の店員マイ、そして主人公はお客様であるあなた。
そこで体験する、魔法のコーヒー「シェリー・ブレンド」の味で、お客様は何かに気づき、そして希望を持っていく。
そんな喫茶店のお話です。


テーマ:

「彼女のお陰で、うちはこんなに変わったよ」

 

 木下が自慢げに言う。確かにこの事務所なら、お客さんが来て仕事を頼もうという気になるな。前の事務所は雑然としすぎて、ちょっと怪しい雰囲気があったからなぁ。

 

「ねぇ、宗田さんって家で厳しくしつけられたの?」

 

 ふと湧いた疑問を口にしてみた。するとこんな答えが返ってきた。

 

「実は違うんです。私の親って片付け下手で、家の中は雑然としているんですよ」

 

「じゃぁ、どうしてこんなふうに?」

 

「実は、私の高校の頃の先生が教えてくれたんです。物には命があって、大切にすると長生きしてくれるんだって」

 

「物には命がある?」

 

 思わず聞き返してしまった。

 

「はい。先生、ちょっと変わった人で授業中にこんな話をよくしてくれました。先生がその頃に乗っていた車、結構古いものだったんですけど、毎朝声をかけるようにしたら調子よく動くようになったそうです」

 

「あ、なるほど。それでパソコンに語りかけていたんだ」

 

「はい。そうしたら私も、パソコンの声が聞こえてくるような感じがするんです。実際に、どこが悪いのかがすぐにひらめくようになって」

 

 不思議な話だが、現実に目の前でそれを体感したので否定はできない。

日向ひなたさんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス