第95話 働いたら負け その19 | 【小説】カフェ・シェリー

【小説】カフェ・シェリー

ここは喫茶店、カフェ・シェリー。
登場するのは40代の渋いマスターと20代の店員マイ、そして主人公はお客様であるあなた。
そこで体験する、魔法のコーヒー「シェリー・ブレンド」の味で、お客様は何かに気づき、そして希望を持っていく。
そんな喫茶店のお話です。


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「じゃぁ、今オレが感じた味が、今オレが望んでいるものだっていうのか」

 

「本人は気づいていないけれど、そうだっていうことは結構ありましたよ」

 

 マスターがそう言う。

 

「そうそう、俺の時もそうだった。実は俺もかつてはシンジみたいに一人でなんでもやってやろうって、そう思っていたんだ。けれど、シェリー・ブレンドを飲んだときに『人のためになることをすすんでやる』ということへの願望があったことに気づいた。実はそれがほんとうの意味の『働く』だってことを、マスターから教えてもらったんだ」

 

 そうだった、今日ここに来た理由の一つがそれだった。ユウイチが会わせたいと言ったこのお店のマスター。この人にはどんな魅力が隠されているのだろう。

 

「マスター、『働く』の話をシンジにしていただけますか?」

 

「ははは、そんなにたいそうな話じゃないと思うけど」

 

 カップを磨きながら笑うマスター。なんとなく人なつっこくて引き込まれそうな感じがするのは確かだ。

 

「シンジくん、働くってどういう意味か考えたことあるかな?」

 

「えっ、働く、ですか?働くって何かをしてお金をもらうってことじゃないんですか?」

 

「確かに、何かをするっていうのは正解だね」

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