第94話 小さな約束 その10 | 【小説】カフェ・シェリー

【小説】カフェ・シェリー

ここは喫茶店、カフェ・シェリー。
登場するのは40代の渋いマスターと20代の店員マイ、そして主人公はお客様であるあなた。
そこで体験する、魔法のコーヒー「シェリー・ブレンド」の味で、お客様は何かに気づき、そして希望を持っていく。
そんな喫茶店のお話です。


テーマ:

「マイちゃん、シェリー・ブレンドを二つお願いね」

 

「かしこまりました」

 

 マイちゃんと呼ばれた女性店員、なかなかかわいい子だな。ふとカウンターに目をやると、渋い中年のマスターがコーヒーを淹れている。あらためて店の中を見回すと、広くはないが窮屈ではない。ホワイトとブラウンのツートーンでまとまった、落ち着くお店だ。さり気なく流れているジャズもなかなかいい。

 

「さて、娘さんの反抗期の話の続き、聞かせて下さい」

 

 ようやく私が話す番がやってきた。

 

「あ、はい。えっと、娘が私の仕事を理解してくれていない、というところまで話しましたね。広告代理店というのはクライアントの都合で動いているようなものです。だから、休日にも関わらず呼び出しがかかるのは日常茶飯事です」

 

「そうなんですね。そういう話は耳にはしますが、なかなか大変なのですね」

 

「はい。だから、家族で動物園に行こう、遊園地に行こう、買い物に出かけよう、そう約束した日に限って呼び出しがかかることもあります。ここはクライアントを優先しないといけないので、家族には申し訳ないのですが仕事を優先させてもらっています。でも、娘はワガママでそれを理解してくれないんです」

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