「それで、どうなったのですか?」
「これがね、おもしろいのよ。なにがきっかけだったか、これも覚えていないけれど。お父さんにいろんなことを頼り始めたら、お父さんのことが嫌いじゃなくなってね。そうしたら、いつのまにか下級生との仲も良くなっちゃって」
「どうしてそうなるんですか?理由がわからないです」
「それは私から説明しよう」
今度はマスターが言葉をはさんできた。
「マイがお父さんに反抗していたとき、私の目から見ても、誰も寄せ付けないぞってオーラーを発していたんだ。仲のいい友達は寄せ付けるけど、ちょっとでも気に入らない人に対してはそう感じていただろうね」
あ、ひょっとして今の私がそうなのかもしれない。
「けれど、いつの間にかその寄せ付けないオーラがなくなってね。すごく話しやすい女の子に変わっていったんだよ。そのころからだったよな、私とよく会話をするようになったのは」
「えー、そうだったんだ。それは私も知らなかった。自分のことなのに、驚愕の事実だわ」
おねえさんも自分のことがわかっていなかったんだ。けれど、私も同じように変われるかもしれない。いや、変わらなきゃいけない。部のためにも、作品のためにも。