第91話 お父さん、大嫌い その23 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「それで、どうなったのですか?」

 

「これがね、おもしろいのよ。なにがきっかけだったか、これも覚えていないけれど。お父さんにいろんなことを頼り始めたら、お父さんのことが嫌いじゃなくなってね。そうしたら、いつのまにか下級生との仲も良くなっちゃって」

 

「どうしてそうなるんですか?理由がわからないです」

 

「それは私から説明しよう」

 

 今度はマスターが言葉をはさんできた。

 

「マイがお父さんに反抗していたとき、私の目から見ても、誰も寄せ付けないぞってオーラーを発していたんだ。仲のいい友達は寄せ付けるけど、ちょっとでも気に入らない人に対してはそう感じていただろうね」

 

 あ、ひょっとして今の私がそうなのかもしれない。

 

「けれど、いつの間にかその寄せ付けないオーラがなくなってね。すごく話しやすい女の子に変わっていったんだよ。そのころからだったよな、私とよく会話をするようになったのは」

 

「えー、そうだったんだ。それは私も知らなかった。自分のことなのに、驚愕の事実だわ」

 

 おねえさんも自分のことがわかっていなかったんだ。けれど、私も同じように変われるかもしれない。いや、変わらなきゃいけない。部のためにも、作品のためにも。