第89話 お前が悪い! その14 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「自分の心が、周りをそうさせているんですよ」 

 

 マスターがそう口を開いた。 

 

「そうさせているって、どういう意味ですか?」 

 

 オレはその言葉にちょっとイラッとした。 

 

「つまり、部下がちゃんと動かないのはオレのせいだってことですか?」 

 

 ムキになってそう言う。が、マスターは冷静にこう答えた。 

 

「はい、そのとおりです。会社の部下や奥さん、旦那さんに対して愚痴を言われる方は多く見られます。が、その原因はほぼ間違いなく本人にあるんです」 

 

 マスターはオレにケンカを売っているのか?だがオレも大人だ。ここで挑発に乗っては相手の思うつぼだ。 

 

「じゃぁ、オレのどこが悪いのか教えてくれませんかねぇ」 

 

 ちょっと皮肉たっぷりにマスターに尋ねてみた。マスターはコーヒーの最後の仕上げに入っている。 

 

「もう少しお待ちいただいてもよろしいでしょうか」 

 

 さすがにコーヒーを淹れる手を止めさせるわけにはいかない。ここはおとなしく待つことにした。 

 

「そういや笹口、さっき変なことを言ってたな。ここのコーヒーのおかげで目が覚めたって。ありゃどういう意味だ?」 

 

「ここのコーヒーには魔法がかかっているんだよ」 

 

 魔法って、ますます怪しい店だな、ここは。