思い返せば、好みは変わるものの、またそこに戻る気がします。

感動と満足。

どんなことでも同じ。

限界効用逓減の法則に則って推移していくものです。

 

10代、20代の頃は、キャノンボール・アダレイのアルトに憧れたものです。

30代では、その憧れの的がジェシー・デイヴィスに、と……。

40代以降は、楽器でのアイドルはなくなり、向き合い方のような姿勢に心を掴まれたように思います。

ふたりいますが、両者ともにテナー・マンです。

そのうちのひとりは、ヒューストン・パーソン。

戦い抜いたこそ手に入れることのできる安らぎのような空間を感じさせてくれます。

もうひとりは、スコット・ハミルトン。

デビューしてから何十年経った今でも、変わらないスタンスに驚きます。

 

住む流域は、その都度変わるもの。

淀むときもあれば、勢いよく流れたり……、と。

そのときにしか捉えることのできない匂いやニュアンスがあるのも事実。

 

若い頃は、誰だって濃度の高い水域を、息継ぎをすることさえ惜しんで泳いでいたのではないですかね。

好奇心は、推進力を加速度的に増幅させていきます。

 

年を追うことで、少しずつ理想と現実のギャップを思い知らされていくもの……。

できることをできるように愉しんで……。

ま、それが今なのかもしれません。

 

アルトサックスに触れる度、上達しない自分に歯痒さを感じつつ……。

従軍によってきらめきを失ったレスター・ヤングへの憧れが、湧水のように込み上げてきます。

クールですね。

いやいや、アイスかも……。