アルバート・キングのアルバム『Born under a bad sign』がレコーディングされたのは66年。
リー・モーガンのアルバム『Charisma』がレコーディングされたのも同じ年。
また、ボブ・ディランのアルバム『Blonde on blonde』も同じく66年の録音。
風邪をひいて、時間を持て余していたので、順に聴いてみました。
どれも、高校生の頃に聴いていたものばかりです。
『Born under a bad sign』は、退廃的な空気感の中に猥雑さが潜む、言うなれば70年代の新宿裏通り的な匂いを振り撒きます。
また、『Sweet Honey Bee』は、キラキラした音の粒がシャワーとなって降り注ぐ明るいイメージ。
『Just like a woman』は、あの頃からのお気に入りです。
スティーヴィー・ニックスもカバーしていますが、綺麗なメロディーと温もりのあるしわがれ声との融合がとても魅力的です。
1966年という年は、私の生まれた年です。
意図して生を受けたものの、本人にすればいきなり世に放たれたようなもの。
両親の手厚い保護の元、社会へと漕ぎ出す準備をしていた10代。
ビリー・ジョエルの『ガラスのニューヨーク』やロッド・スチュアートの『今宵焦がれて』がリアルタイムだったあの頃。
『メンズクラブ』というコンパスを片手に、ファッションに於いても、タイムトラベルを愉しんでいたように思います。
過去を振り返って、もしくは遡ってみての散策は、道のりを辿ることで確実な座標を手に入れることが出来ます。
でも、渦中であれば、不安と希望を胸に、迸る情熱を頼りに未開の地へと足を踏み出していく……。
そんな中、ビートルズを1位の座から引きずり下ろした『In the court of the Crimson King』は、どれほど斬新かつ衝撃的な作品であったのかを強く思わせます。
事実、今聴いてみても、彼らが織りなす複雑な音の模様には、耳にするほどに感嘆と驚愕の嵐に呑み込まれます。
ダーウィンさんの言うとおり、どんなことも進化していきます。
私も進化しないといけません。
ま、早く風邪の呪縛から逃れ、一日でも早く、思うようなフレーズが吹けるように、アルトサックスに向き合っていきたいと思います。
Mercy, mercy, mercy!
そんな思いに近い気がします。
66年録音でキャノンボール・アダレイ・クインテットによるアルバムです。

