12月も第2週に突入。

濃いねずみ色の雲が頭上を覆う日が多くなってきました。

忙しなさも、1段ギヤを上げての高回転。

同じことをしていても、気配りには細心の注意……。

そこにきてインフルエンザの忍び寄る影。

1日の終わりに湯船に浸かるありがたみをひしひしと感じる今日この頃です。

 

朝鮮戦争を踏み台にして、大戦後の大復興をしなやかに成し遂げた日本。

かつてのメイド・イン・ジャパンの技術も、70年代、80年代を通して世界も認める水準へと変貌。

90年代から2000年を過ぎたあたりからですかね。

過剰なまでの利益追求と引き換えに、じわじわと始まった頭脳と技能の海外流出。

今では輝きを取り戻すのにも必死の形相……。

 

人の弱みに付け込んで得た利益は、知らぬ間に手のひらからこぼれ落ちていくように思います。

ある意味、あぶく銭と同じ。

みんなの利益を考える体で、自分の利益を見出す人。

多数決が民主主義の大前提と思っている人も多い中、少数の正義の存在を忘れないでほしいもの……。

立場のある人ほど、目配りや気配りに気を使って欲しいものです。

 

この業界に入った頃のこと。

当時、29歳でした。

営業に伺い、料理旅館のご主人と世間話。

その途中、何人かの宿泊客、それも外国人もちらほらとすれ違います。

聞けば、そのご主人、世界的有名な尺八の名手とのこと。

単なる宿泊のためではなく、尺八習得のための宿泊です。

思わず、『すごい方なんですね』、と私。

すると、そのご主人は、笑みを湛えて、こんなことを言われました。

『すごい人でもなんでもない。ただの料理旅館の主人やで。ただ、尺八はすごいかもしれん。でも、尺八がすごいからと言うて、人間がすごいとは限らんで』

本当にすごい人とは、こういう人なんだな、と当時つくづく思ったものです。

魅力の乏しい私は、あの時のご主人の言葉を今でも心に忍ばせています。

人は、ステージが上がるにつれ、自信と信頼を獲得していきます。

知らぬ間に忍び寄る傲りの影に呑まれないよう、気をつけないといけません。

『先生』と呼ばれる政治家が、いちばん怪しいかもしれませんが……。

ま、人の振り見て我が振り直せ、ですね。

そんなことを思いつつ、80年代のビクターのアナログプレーヤーで、ビリー・ジョエルの『ソングズ・イン・ジ・アティック』を昨夜聴いていました。