昨夜は、久し振りに古いシステムを繋ぎ合わせて、中島みゆきのレコードを聴いていました。

アルバムのタイトルは、『寒水魚』。

中学生の頃に発売されたモノです。

シングルとは違うアルバム・バージョンの『悪女』には、当時も今もヤラれています。

あの頃は、シングルでリリースした曲はアルバムには収録しない的な、ある意味ステイタスのようなものを感じたものです。

アルバムの完成度を優先していたのかも知れませんし、または、レコード会社の戦略のひとつだったのかもしれません。

欲しければ、シングルとLPの両方を買わなければなりません。

当時、LP盤が2,800円とか2,500円、シングル盤が700円とか600円でした。

中学生には痛い出費です。

 

なんにせよ、アレンジがロック的な『悪女』で幕開け。

曲が進むにつれ、歌詞が――ホットケーキにシロップが染み込むように――じわじわと心に沁み込んでいき、A面最後の『捨てるほどの愛でいいから』には密度の濃い幕引きを演出します。

感極まったかのように言葉が詰まり、それを呑み込むように、厚めのストリングスが押し寄せてきます。

この曲でも泣いているのか、と思わせるような匂いすら漂わせて……。

 

シーナ&ザ・ロケッツのシーナは、自分のことを『3分女優』と位置付けているようなことを何かの雑誌で見た覚えがあります。

中島みゆきも、まさに女優そのものですね。

曲によって声色を替えたり、思いを強めたり、と聴いていて少しも飽きません。

飽きるどころか、もっと深く行間を読んでしまいます。

曲をひとつ拾い上げ、小粋な短編小説が出来上がる気がします。

能力的には疑問はあるものの、機会があれば書いてみようと思います。

 

B面へと盤を裏返し、『B.G.M.』から少しずつ熱量を上げていき、ラストは『歌姫』です。

都会独特の喧騒とどうしようもないほどの孤独感が手に取るようにわかります。

MDからCDへと落とし込み、パソコンのソフトを使って簡単な音質補正。

ついでに、発売年が同じシングル2枚も追加してみました。

『誘惑』と『横恋慕』です。

レコード本来の音ではないものの、そこそこ音質には満足しています。

また、パソコンでCDを焼いて、お客さんに差し上げようと思います。

気温がぐっと下がったのが理由なのかもしれませんが、ついつい懐かしいレコードに手が伸びてしまいます。

ま、歳のせいかもしれません……。

ホホホ……。