昨日の雨をまだ少し引きずっています。
気温はこの時分にしては少し高め、梅雨に感じる気怠さを誘います。
通勤途中の峠の桜もすっかり花を落し、しっとりと雨にうなだれています。
NHKの朝ドラ『なつぞら』にメロメロです。
あの予定調和なストーリー展開が、たまらなく仕事に追われる気持ちを癒してくれます。
途中途中のセリフもいいことを言ったりして、ハッと気づかせてくれたりと……。
どこかへ置き去りにしてきた熱い気持ちのような、そんな感じです。
同じように、初めて『冬ソナ』をBSで観た時も身体をよじりました。
その先にあるものが湧水のように清らかであればあるほど、切なさが無条件に加速していきます。
歳を追うごとに、というか仕事をしているせいか、駆け引きや裏を読んだりと、心が荒んでくるのですかね。
先日も溝掃除の時に、沢蟹を見つけ、うちの裏側の比較的綺麗な溝へと移してやりました。
そうそう、思い出しましたが……。
もうずいぶん前です。
29歳くらいの時です。
時分は今頃か、GWあたりの夜のことです。
女の子とドライブ、車を堤防に止めて夜の海を見ていたのですが、おしっこをしたくなり、海へと放出しました。
すると、真っ暗な海面のはずがおしっこが落ちると同時に、青白くきらきらと光を放ちます。
はじめは油か何かが浮いていたのが、月明りで浮かび上がってきたのかと思いました。
でも、不審に思って、おしっこが終わったあとに小石を海へと投げ入れます。
すると、おそらく石が当たった海面がまたもやきらきらと浮かび上がります。
そこで、ようやく気づきました。
夜光虫です。
こんなところでも見ることができるのか、と感動して、車に戻り、彼女を引き連れて海辺でうっとりしたことを覚えています。
取引先の観光会社さんが、GWから夜光虫ツアーみたいなものを観光船で運航するとのこと。
広告の仕方もあるとは思いますが、絶対ヒットすると思います。
北海道へフェリーで行った時も、デッキから見る曳波に合わせてきらきらと夜光虫が囁いているのが見えました。
とてもロマンチックで、思わず『スロー・ボート・トゥ・チャイナ』の歌詞を思い出します。
out on the briny
with the moon big and shinny
melting your heart of stone
I'd love to get you
on a slow boat to China
all to myself alone
これを大橋美加さんが歌っているのが私は好きです。
ワン・コーラス目は日本語で、ツー・コーラス目からは英語、となんとも粋です。
大人一歩手前か、ちょっと大人を通り過ぎたあたりが似合う気がします。
ついさっき、以前からよくして頂いている取引先へ請求書と一緒にシュークリームを持って行きました。
そこの先代の社長には、ずいぶんとよくして頂いたものです。
前から気にかけて頂いている事務員さんに電話を入れ、甘いものがお好きな方の人数を聞いてから伺いました。
そのシュークリーム、すごいんです、本当に。
底に大きな穴があいており、皮がたっぷりのクリームを包んでいる感じ、仕上げに粉の砂糖がどっさりとまぶしてある。
とても片手に持って食べる代物ではありません。
これです。
とても喜んでくれました。
食後にみんなで頂くわね、と。
その方の優しさで、先代の社長と私を繋げてくれたところも多い、と今でも感謝しています。
焦らずに構えているの?
大人のつもりで?
周りにいるほかの人たち
うまい具合に追い払ったあとで
揺れる波
騒ぐ潮風
月明りの下
あなたはきっと私だけのもの
覚悟を決めて!
大橋美加さんが、そう囁きます。
たまりませんね。
気分は、はにかんだチェリー・ボーイです。
赤い口紅のにあるクールな女性が潮風に髪をなびかせているようで、なんだかドキドキします。


