今日も、引き続きの晴天です。
花粉のせいか、上空は仄かに白く煙っています。
以前、“ガッテン”で紹介されていたように、ワセリンを小鼻に塗っての出勤です。
昨日は、久し振りに海岸線をバイクで流しました。
雲一つない空は薄い青色のグラデーションが水平線まで続き、波打ち際の海の色はエメラルド・グリーンに染められています。
朝早いうちに玄関周りの草を抜いて、一息入れてからバイクのエンジンをかけます。
250ccの単気筒、トラップ・マフラーからは安定した快音を吐き出します。
やっぱり、私はこのバイクのほうが相性がいいのかもしれません。
スロットルを開けると、微妙にずれて期待に応えてくれます。
4気筒のCB400Fは期待通りのレスポンス、まだ不慣れな私にはちょっと怖い感じもします。
海岸沿いのワインディングを抜け、ローソンで小休憩。
中で、ハッシュドポテトとコーヒーを飲んでいると、
「こんにちは」、と声をかけられました。
誰だろう?、と思い、ふたつ空けた隣の席へ着くご婦人に視線を向けます。
自転車乗りの格好で、サンドイッチの袋を開けるところです。
「こんにちは」
私も、軽く挨拶を返し、窓越しの景色へと視線を戻します。
それにしても、ローソンで見ず知らずの方から声をかけられる、という初めての経験に思わずニヤリです。
どうやらご主人と、自転車で日本縦断の旅の途中とのことでした。
そのあと、ご主人とは喫煙場で話しました。
神奈川にお住まいの方たちです。
まず、新幹線で自転車と一緒に鹿児島へ。
それから、フェリーなんかも利用しながらの自転車の旅。
ホテルはあらかじめ予約してあるとのことです。
ご主人の定年退職を機に、急に思い立った旅のようでした。
素敵なご夫婦を見送って、バイクのもとへ。
腕時計に目をやると、もう1時を回っていました。
帰りには天橋立を掠めて、いつものコーヒー・ハウスでオムライスのセットでも食べようと思い、エンジンをかけます。
すれ違うライダーたちに手を振り、懐かしさを満喫です。
若い頃は、ちょっと気取って右手を上げていましたが、今はそんな余裕はありません。
左手を少し上げる程度です。
さすがに好天に恵まれた観光地です。
天橋立周辺には、車やバイク、観光バスに観光客と狭い道路にひしめき合っています。
すっと抜けて、目当ての店の前にバイクを止め、席へと向かいます。
お店の方に、オムライス・セットで食後に熱いブレンドをお願いします、と告げます。
窓の外へと目を向けて、景色をぼんやりと眺めていました。
海の水面は陽射しを受けて、小刻みに乱反射を繰り返しています。
お待たせしました、の声に振り向くと、オーナーが笑顔で注文の品を持ってきてくれました。
「あれ、変わりましたね」
「はい、変えてみました」
、となんだか嬉しそうなオーナーの笑顔です。
ここのオムライスには小振りの鶏肉がいくつも入っていて、とても懐かしい感じがして私は大好きです。
ただ、中のチキンライスにもケチャップで味付けされているので、薄味が好きな私にはちょっとへヴィでした。
食べ終わり、コーヒーを飲み終え、伝票を指に挟んでキャッシャーへ。
すると、またしてもオーナーが笑顔で現れます。
「どうでした? 前のと比べてどっちがよかったですか?」、と満面に笑みを湛えす。
「新しいのは、おしゃれでいいですね」
「それはよかったです。ただ、前のほうが好きだというお客さんもいて……」
「私は、ここの鶏肉が入っているオムライスが大好きです。ただ、薄味が好きなので、ホワイト・ソースが反対側にあったので、それと混ぜて食べたりしました。美味しかったですよ」
オーナーは、終始笑顔でした。
いつもは話さない方たちとの会話が、ふいに吹く爽やかな風のように感じられた一日でした。
家に帰るなり、犬たちが嬉しそうに吠えて歓迎してくれます。
黒いほうのダックスは、またウンチをして食べた形跡をシートの上とおむつの尻のところに残したまま。
一気に現実へと引き戻されます。
でも、帰宅すると必ず喜んで近づいてきてくれるこの子らのおかげで、娘のいない生活も寂しくないのかもしれません。
いちばん私になついてくれています。
ただ、“いいもの”を私がやるからだ、と娘は言いますが……。
娘に抱かれるオグリキャップです。
先月、春休みで帰省した時の写真です。
本気で嫌なんだと思いますけどね。
大あくびしているのが、その証拠です。
川は流れて どこどこ行くの
人も流れて どこどこ行くの
そんな流れがつくころには
花として 花として 咲かせてあげたい
おおたか静流さんが歌う「花(すべての人の心に花を)」の歌詞の一部です。
彼女は確かNHKの子供向け番組にも関わったことがあったように記憶があります。
歌い方、身体の動き。
その表現力はおそらく他の追随を許しません。
稀有な存在のように思います。
琴線に触れる一枚ですね。




