今日は朝から雨で、
アスファルトはべったりと黒く濡れ、
マンホールは鼠色の空を写し出しています。
何かにぶつけたように、左ひざが痛みます。
準備運動もせず、いきなり踊ったことが原因なのでしょうか。
もしそうなら、運動不足もはなはだしいかぎりです。
本当なら今日はバイクに乗ろうと思っていましたが、
あいにくの雨がその気持ちを一緒に流してしまいます。
昨日のダンスパーティーを思い浮かべます。
自信のなさが、抽選券を隣の方に譲ってしまいました。
くじで番号を呼ばれると、先生と2曲踊れるという券です。
その方は、「本当に、いいんですか?」、
と尋ねます。
ワルツとタンゴ。
今の私には、猫に小判、豚に真珠ってところでしょうか……。
☆
メールを交わしている素敵な方が、
大好きだという『マギの贈り物』、
という超短編を読みました。
ふと、寺山修司の『赤糸で縫いとじられた物語』が脳裏に浮かびました。
この作品は大好きで、それこそ何度読んだかわかりません。
はじめて知ったのは、今から少なく見積もっても二十五年は前のことです。
NHK-FMの青春アドベンチャーという番組で放送されていたものを、
途中の回からカセットに録音していました。
今ではそのカセット・テープさえ、手元に残っていません。
以前、NHKに再放送のリクエストをしたことがあります。
『壜の中の鳥』も『マギの贈り物』同様に、悲嘆に暮れるような切なさを心に引きずらせます。
往々にしてそうですが、同じような思いに駆られたことは過去に幾度かあります。
自分の身体から放たれた言動は、取り戻して何もなかったようにすることはできません。
犠牲を払い、リスクを冒す。
鋭利なナイフが一瞬にして心を引き裂く。
生温かい液体が、痛みとともに外へとあふれ出す。
ふと、若い頃を思い出します。
興味や情熱に引っ張られ、
漲る精力の赴くままに行動していた十代の終わりから二十代の半ば。オルゴールの蓋を開け、そっと目を閉じます。
瞼の裏側には、懐かしくも切ない光景が次々に溢れてきます。
今、O・ヘンリーの短編に夢中です。
また一つ、好きな作家が自分のライブラリーに加わりました。
☆
協調性と柔軟性という点は、
非常に似てはいるものの、まったくの別物です。
でも、どちらもとても大切なことであることには変わりはありません。
カルロス・サンタナというミュージシャンは、
本当に変幻自在なギタリストでです。
このアルバムを買ったのは、高校生の頃です。
ターン・テーブルに載せ、聴き進むうちに、
なんとウィリー・ネルソンの声が聞こえてきました。
意外なつながりに驚いたのを覚えています。
サンタナのアルバム『ハバナ・ムーン』。
曲は『ゼイ・オール・ウェント・トゥ・メキシコ』。
しっとりとした素敵な曲です。

