気温がぐっと冷え込み、朝夕の空気が鼻の奥をつんとさせます。

 

通勤途中の道路脇では、ところどころに鮮やかな赤色を放つ灌木が一際目を引きます。

 

かぶれの木だと思いますが、その毒々しいまでの赤色は若い頃の情熱を思い出させます。

 

季節が進むにつれ、様々な催しも軌を一にするように熟してきます。

 

絢爛豪華な空間。

 

一歩足を踏み入れた途端に、そこは冷たい風に曝されることのない別世界。

 

それぞれの思いを乗せた空間は、場所は違えど利用する人たちの五感を惹きつけてやみません。

 

 

気持ちが高揚すると、今まで普通に見ていた景色でさえ、まるで違うもののように映ります。

 

気にも留めなかった曲が、素敵な言葉を紡ぐ旋律に聞こえ、知らず知らずのうちにうっとりと聴き入ってしまう自分に気づいたり……。

 

 

深まる秋の色合いは、身も心も温めてくれます。

 

 

外苑のいちょう並木を思い出します。

 

黄金色のいちょうの葉は、次第に夕闇に滲んでいく。

 

綺麗な色の対比は、やがて夜の闇にすっぽりと呑み込まれます。

 

 

『いつまでも愛してくれる人がいたら……、

そばにいてくれて、しあわせだと思える人……、

どんなときも元気づけてくれる人……、

私はきっと、いつまでもあなたを愛し続けるだろう……』

 

フランク・シナトラで有名な『オール・ザ・ウェイ』の歌詞。

リー・モーガンのトランペットも雄弁に語ります。

 

色づいていく季節に包まれ、ふとこの曲が頭をもたげます。

ハンドルを握りながら、口笛で旋律をなぞっていました。

今日は、個人レッスンです。

タンゴの続きです。

マスクをして頑張ろうと思ます。