ちょっとドキドキしながら扉をゆっくりと開ける。
壁の鏡越しに映る私を認めたらしく、
「こんにちは!」、と先生の快活な声が響く。
「よろしくお願いします」
先生は、私の前にレッスンを受けておられた方と談笑されていた。
やっぱり緊張しますし、照れますね。
その生徒さんは、以前見学に行った際に、
パーティーに行きましょう、とわりと強引に誘ってくれた方です。
人に気持ちを添えるというか、ほっとけない方なんだと思います。
「いい靴じゃない?」
「ありがとうございます。先生のオススメです」
気を遣っていただいて、少しずつなじみます。
さて、レッスン開始。
「ステップは踏める?」
「じゃ、組んで、次に押し出して……」
「あと、角度が大切なのよ」
どうやら、1回転で反対向き、2回転で元の向きに戻る。
そういうものですね。
音楽に合わせて一通り踊ってみる。
「できるじゃない。じゃ、次は足を揃えてやってみましょうか」
これが、難しいんです。頭では理解できるのですが……。
押し出して、戻ってきて、次に抱え込む時に、
この足を揃えるっていうのが役に立つみたい。
基本のと、押し出すのと、自分が左回りに回転するのと、戻ってきた時に両手を繋いで回るのと、
その次に抱え込んで、また押し出して、次に左手を右手に繋ぎかえて垂直に押す。
確か、これを繰り返すみたいな感じ。
楽しくてしょうがない。
足を揃えての場合は、カウントがとても難しく感じました。
右足に力を入れて、クルッと回って足を揃えてから、トン、トン。
足を揃えられるところは、きちっと揃える。
そうすることで、ビシッとシャープに見えるみたいです。
「大概は、スロー・スロー・クイック・クイック、いち・にい・サン・シッだけど、
足を揃えることで、スピード感が出るでしょ、」、と先生は笑顔で話されます。
たまりませんね。
今までの適当(自分なりの)とはさすがに違います。雲泥の差です。
来週のレッスンまでに復習しないと……。
気持ちがウキウキしてきます。
青春です。単車に乗るのより楽しいです。
頭の中は『ラッキー・リップス』、こんな感じです。
クリフ・リチャードやルース・ブラウンで有名ですが、
私は男子なので、俄然クリフ・リチャード盤が好きです。

