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あとは扉が開くだけ



 これでいいですか?

 城所「ああ、ありがとう」

 私は頼まれていたものを城所さんに渡しました。
 それにしても、最近撮影した写真を何枚か現像して欲しいと言われたから渡しましたが、
 一体何に使うつもりなのでしょうか。

 全ては当日に明らかになるでしょう。

 さて、早いもので明日はお嬢様をお迎えする当日ですね。
 私達も前日ともなれば準備も追いこみ、現在は明日の洋服にアイロンをかけ直したり
 テーブルのセッティングをしたりとラストスパートです。

 ユウヤだけは今朝から川に鮭を取りに行くと言ったっきり帰ってきていませんが…

 そんな久しぶりに慌ただしいお屋敷の中で私カズキは先日誕生日を迎えました。

 流石にこの歳になると誕生日を迎えることはさして楽しいことではありませんが、
 お屋敷のみんなに「おめでとう」と言われると純粋に嬉しいものです。

 その日はシェフお手製のフワフワのスポンジケーキをみんなで食べました。美味しかったです。

 明日着る洋服も準備しましした。
 目覚ましもセット完了です。

 セイジ先生の給仕マニュアルもクリアしました。

 ケンジが夜中にイタズラしないように部屋に部屋に閉じ込めました。

 あとは眠って陽が昇るのを待つばかりです。

 それでは、明日はお嬢様にお会いできるのを楽しみにしております。



 カズキ




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TOMORROW



 いよいよ明日。

 お会いできるのですね。

 天気はいいような予報ですが、暖かい格好でお戻り下さい。

 相変わらず口下手で恥ずかしがり屋で赤面症な私ですが、
 一生懸命お給仕させていただきます!!

 ドキドキで今夜は眠れないかもしれません(汗)

 もしも明日、私の目が腫れているようでしても、
 どうかそっとしておいて下さいますようお願いします。


 多少目が腫れていたところで、私の美しさは陰ったりいたしませんので…(笑)

 



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当日の注意事項


 お嬢様、旦那様、ご無沙汰しております。
 ランドスチュワードの城所でございます。

 お迎えの日を目前に控え、使用人達は慌ただしく動き回っております。

 朝にはユウヤがクッキーの試作品作りを、
 昼にはカズキが暗室で写真の現像を、
 夕方にはセイジが一心不乱にさんすうドリルを解き、
 夜にはケンジがネタの練習を。

 ただでさえ賑やかな我が屋敷ですが、何時にも増して騒がしい日々が続いております。

 皆が色めき立っているのは、やはり主の帰宅を心待ちにしている故でしょう。


 そこで今回は、お嬢様方と一緒に過ごす時間をより楽しいものにしようと、
 セイジを筆頭に催し物を準備しているようでございます。


 セイジはさんすうドリルと眼鏡。
 ユウヤはと自分用の大きなスプーン。
 ちからはマフラー。
 グンジはネクタイ。
 ナオは麦藁帽子とじょうろ。
 シンはパレットと絵筆。
 カズキは写真立て。
 ケンジはマイクと蝶ネクタイ。
 そして奥森は台帳。

 それぞれ自らの大切な物を持ち寄り、メッセージカードを書いて…。


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 「当日のお楽しみなんですから!」としつこく口止めされておりますので
 これ以上は申し上げられませんが、きっと楽しい催し物になる事でしょう。



 さて、当日ご帰宅予定のお嬢様、旦那様にいくつかご案内がございます。
 大変恐れ入りますが、ご一読いただきたく存じます。

 ・入店時におひとり様500円のテーブルチャージを頂戴いたします。

 ・混雑時は75分制とさせて頂きます。ご了承ください。

 ・店内での写真撮影はご遠慮ください。

 ・ご飲食代1,000円につき一枚、特製ラミネートカードをプレゼントいたします。
  (6種類の内からランダムで1枚)

 ・終日、全席禁煙となっております。

 ・お会計はテーブル会計でございます。ご出発の際は使用人にお声をお掛けください。

 もし当日にその他ご不明な点がございましたら、どうぞ使用人にお尋ねください。
 
 明後日は少し肌寒い陽気になるようでございます。
 どうぞ暖かくしてご帰宅くださいませ。

 尚、こちらに屋敷までの案内図をご用意致しました。
 少々わかりづらい場所でございますのでどうぞご活用下さい。
 何度も申し上げておりますが、くれぐれも迷子になりませぬよう…。

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 暖かく穏やかなお時間を共に過ごせる事を、心より楽しみにしております。
 お嬢様、旦那様をお迎えする日が素晴らしいものになりますよう、お祈り申し上げております。

語り継がれる物語



 覚えておりますか?
 昔、お嬢様にお読みした絵本のお話を。

 お嬢様が眠れぬ夜、私が読むあの物語をいたくお気に召しておいででしたね。

 あの物語は城所から受け取った絵本でございまして、
 実はこの屋敷に伝わる古くからあるお話なのです。

 思い出してみて下さい。
 その物語が何を意味するものなのか。




 昔々ある処に美しいおんなのこが住んでいました。
 おんなのこは田舎町の大きなおやしきに住んでいて
 ペットのロビンやめしつかいたちと仲良く毎日を過ごしていました。

 おんなのこはとてもかしこく、かわいらしかったので
 おうじさまに見初められ、お城に行くことになりました。
 お城に行ったおんなのこはきれいな洋服やおいしい食事、
 そして優しい王子様に囲まれて、大層幸せに暮らしていました。

 しかしひとたびやわらかいベッドへ横になると
 見るのはなつかしいあのおやしきの夢ばかり。

 みんなどうしているかしら?

 おんなのこがつぶやくと、窓からするりとロビンがしのびこんできました。
 その胸には小さな"かがみ"が光っています。
 おんなのこはその"かがみ"をそっと手にとりました
 するとその"かがみ"がきらりと光り、おんなのこの体を包みこみました。
 ふわっと足がうく感覚におどろいた次のしゅんかん
 なつかしいかおりがおんなのこの鼻をくすぐります。
 このかおりはいつもみんなが作ってくれたクッキーのかおり!

 "おかえりなさい、首を長くして待っていましたよ"

 おんなのこ、めしつかい、みんな笑顔。
 ロビンはおんなのこのかたに乗って、誇らしげに胸を張ったのでした。




 これがこの屋敷に古くから伝わる物語でございます。
 

 お屋敷に使える“めしつかい”




 ランドスチュワードの城所

 家庭教師のセイジ

 ページボーイのちから

 ヘッドシェフのユウヤ

 フットマンのグンジ

 庭師のナオ

 画家のシン

 写真家のカズキ

 旅芸人のケンジ



 その物語の名は



 「aiwendir」


 
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もうすぐ♪




 さぁ!
 もうすぐ旦那様やお嬢様方が帰宅されるぞぉ♪











 急いで準備しなくちゃ!











 まずは先生のお手伝いをして、

 ユウヤさんの作った料理を食べて、

 シン君とナオ君とグンジ君と遊んで、

 カズキさんの部屋にバナナを置いて、

 あとは…
 あとは…誰だかよくわからない人にイタズラして…










 ひゃぁぁぁ♪



 やることいっぱいだぁ~☆










 よぉ~し♪

 早速取りかかるぞぉ~






 …って、先生だ!

 今から先生の所行こうとしてたんですけど…







 …はい?


 寒くなってきたからマフラーを使えって?





 わざわざ持って来てくれたんですね♪

 このマフラーは小さい頃から使っていた大切なものなのです。



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 お嬢様とどっちが大切かって?


 もちろんお嬢様です!



 だから

 寒いときはいつでも言ってください。

 
 こんなものでよろしければ、使って下さい♪




 それと

 僕にお手紙ですか?











 わぁ~い♪






 嬉しいなぁ~☆







 誰からだろ…











 お父さん…お母さん…


 

 これって…