以前にも何度か記事にしたことがある(2010年7月)のですが、私の
子供の頃にBCL(Broad Casting Listening)という趣味が流行った時代
がありました。
これはラジオでもって、海外放送局の主に短波放送を聞くということを
目的とした趣味です。主に小中学生を中心に高校生あたりまでが熱中した
ものです。
私は物持ちが良いために、この時代に買ってもらったラジオをまだ保有
しており、2011年当時に購入から35年経ったパナソニック製のRF-2200
(クーガー2200)を修理(レストア)に出したことを記事にしたことが
あります。(2011年11月)
(RF-2200)
そしてそれとは別に、もう一台。
八重洲無線の通信型受信機のFR-101 Digital Delaxも所有しています。
これは1978年夏ごろに買ってもらい、既に41年経過。
上述のRF-2200よりもさらに時間が経過したことから劣化も進んでいると
思われ、この度レストアに出しました。
レストアをお願いしたのは、TBHD株式会社さん。どこかの放送局関係の
お仕事をされていたエンジニアの方が中心になってアマチュア無線関係の
機材の修理などを請け負ってくれている会社のようです。
修理要望項目としては、
1. バンド切り替えスイッチの接触不良(いわゆるガリ)
2. ATTNスイッチの接触不良(ガリ)
3. 周波数Selectスイッチの接触不良(ガリ)
とこのあたりは経年劣化でやむを得ないような軽度のもの。
4. 電源スイッチの渋さ(バネが弱ってきて戻りが悪い)
5. デジタルカウンターが21MHzの時だけ2が表示されない(これはおそ
らく20年以上前から故障しているような、しかし15mbはあまり使わないし、
他のところではきちんと表示されているので今まで放置していた)
このあたりは故障と言って良い箇所。
そして最後に
6. 全般的な感度が落ちているのではないか?
というところをあげておきました。
そして、
1/10に上記修理要望事項をあげて、連絡。
1/14に返事があり、1/27着でRigを届けるようにとの指示。(先方の作業
都合のために到着日厳守がルール)
1/27に届くように宅配便のPC宅急便にて発送し、
1/31に修理見積もりの回答あり。
レストア級の内容になるのでということで工数6.5人日で約10万円ほどの見積もり。
即日修理依頼を出して、
2/4に修理完了報告。結果6.0人日を要し、レストア費用¥98,736也。
即日振込を実施し、
2/7に手元に戻りました。
非常に迅速で、テキパキとお仕事をこなして下さいました。
(戻ってきたFR-101DD)
1978年購入当時が18万円で、今オークションなどでの中古品でもせいぜい
5-7万円で売買されている受信機に費用かけすぎな感じもありますが、私に
とっては中高大と使用してきた思い出のつまった受信機なので、完全復活
するのは感無量です。
修理状況は、
1,2,3のガリが出ている接触不良の部分に、接点復活剤をかけての対症療法。
4はスイッチボタンの経年劣化による膨張があったのでパネルを削り、回復。
5はハンダ劣化による接触不良を直し、ダイオードも念の為交換して回復。
6の全般的な感度低下、というのは実のところはそれほどは劣化はしていなかった
様子ですが全バンド再調整を行い、ケミコンも新品に総とっかえしたので
新品当時のレベルまで回復。
レストア対応ということで、ハンダ劣化部分や全パネルの再ハンダなど大量に
処理してもらい、また、古いケミカルコンデンサー類も容量抜けなどなかった
ものの経年劣化もあるので9割方新品に置き換えるなどの措置をしてもらい、
完全回復です。
戻ってきて、自宅で各バンドを聞いてみて、格段の違いということはなかった
ですが、ガリや接触不良などのくたびれていた部分は見違えるほど好感触に
なったので大いに満足しています。
TBHD社さんは、修理状況および完了後の点検内容をYouTubeにて公開して
くれているので、そこでのチーフエンジニアから
「S/N比(シグナルとノイズの差)が良くて、今時の無線機でもこんなに良くない。」
「測定限界まで感度良く信号を受信できていてS/Nも良い。」
「ドリフトもない。素晴らしいですね。」
「さすが101シリーズの受信機」
とのお言葉をいただきました。
(JG1BVXさんのYouTube報告:9分15秒あたり)
41年間ずっとこのFR-101のオーナーの私ですが、今回のレストアの
おかげで10年単位でまた使用できそうになった気がするので、
時折火を入れて使っていきたいと思います。
(ちょこっと備忘録〜もう忘れてしまっていたけどネットで拾った情報)
FR-101のAM-Narrowの選択度は
±1.2kHz:△6dBm
±2.0kHz:△60dBm
RF−2200の選択度は、
±5.0kHz:△35dBm
±10kHz:△60dBm
ということで、混信する近接局の分離に、当時のRigで最強のFR-101の
クリスタルフィルターの威力が発揮されたものでした。