そして講座の次の目的(真の目的)は果たして
35mm版のレンズが使えるかどうか?
ご存知のとおりレンズ設計にはイメージサークルと
言うものが重視され、35mm版センサーであれば
対角線長約43mmのイメージサークルを確保できれば
レンズとしてはセンサーに光を届けることができ、
写真撮影は可能になります。
であれば、対角線長55mmあるGFX50Sのような
中判カメラの必要イメージサークルははるかに大きく
35mm版レンズではカバーできないのが普通です。
しかし、35mm版レンズでも43mmのイメージサークル
全域にわたって十分な性能を確保するには余裕を持たせる
必要があり、ものによっては55mmのイメージサークルを
カバーしているものがあるかもしれない。
特に一眼レフではレフレックスミラーが邪魔をするので
無理な設計になりやすい広角〜標準域のレンズではなく、
より無理の少ない中望遠域のレンズであれば55mmの
イメージサークルを確保しているレンズが多いのではないか
というのがこの実験的な講座の趣旨でした。
そしてここでポイントになるのは周辺光量落ちと
対角線方向でのケラレ(というかデータ欠損)です。
それでは順に見ていきましょう。
(1) カールツァイス Otus 55mm F1.4 @f/1.4
ご存知、現代の高級レンズの代表格。
Carl Zeiss 単焦点レンズ Otus 1.4/55 ZF.2 フルサイズ対応 830554
459,000円
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究極の性能を求めたという触れ込みで発売された
レンズですので、かなり余裕があるのではないか、
と思ったのですがかなり苦しいですね。
長辺スミなどではデータもあやしいようなので、
均一な描写を求める風景などでは使いにくいという
ところでしょうか。
ちなみにOtusはその描写特性はともかく、周辺光量
落ちは35mm版カメラで撮影した時も非常に大きく、
私の持っているSigma 50mm F1.4 EX DG(Artでない
旧型の方)といい勝負でした。
(2)ライカR 80mm F1.4 @f/1.4
これも銘玉らしいです。
中望遠域レンズということでOtus 55mmよりは条件は
良いのでしょうが、結果は大差ないというところ?
(3)ライカR 100mm F2.8 @f/2.8
ふつうに写ってますね。
絞り開放だと考えれば周辺光量落ちとして
許容できそうなレベルです。
(4)ヤシカ・コンタックス100mm F2 @f/2.0
これもまた全く問題なく撮れています。
ライカRの100mm F2.8よりも絞り開放値が一段明るい
のにこのイメージサークルを確保しているのはすごい。
(5)ライカ280mm F2.8 @f/2.8
これも長辺のスミまで光量の確保ができているようです。
中判カメラ用のレンズで中望遠域で絞り開放値F1.4-2.0
などというレンズはあまり販売されていません。
今回のGFX50S用では
フジノンGF63mm F2.8(講習で用いたもの)と
フジノンGF110mm F2というものが
発売されているだけです。
しかし35mm版レンズであれば豊富です。
85mm-135mm域であればF1.4〜F2.0のレンズは
今回のようなクラシックレンズの銘玉ではなくとも
さほど高くもなく入手できるものもあります。
それを探し当てるのもレンズコレクターには楽しみ
だそうです。(私にはとても中判カメラを買う必要性
からして理解しにくいですけど)
ちなみに私の持っている現代レンズSigma 85mm F1.4
EX DG(Artでない旧型)でも十分撮影できました。
(6) Sigma 85mm F1.4 EX DG @f/1.4
比較のためにもう一度Carl Zeiss Otus 55mm
(7)Otus 55mm F1.4 @f/1.4
焦点距離こそ違えど、(6)が7-8万円、(7)が40万円級と
するといかがでしょうか?
全く同じシーンの写真を掲載できませんが、旧型の
Sigma 50mmF1.4のカバー状況もOtusよりも良いぐらい
であったことも付言しておきます。
但し、色乗りと言うか、生っぽさと言うか、その辺の
湿り気という描写の面からはOtusレンズの方が上と
評価する方が多かったことも事実です。
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