王道ですなぁ。 Br J Ane10月。 | 犬好き麻酔科医ブログ

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海外臨床留学麻酔Dog、カブリオレのお送りする、
最新論文から、医療の未来像まで。
日々精進。

むう。
BrJAが、もはや、普通の麻酔科医にとっちゃ、王道、ですなぁ。
内容が奇をてらってないと言うか、本ちゃんですなぁ。



Intraoperative hypotension and the risk of postoperative adverse outcomes: a systematic review


ここ数年のトレンド。
術中低血圧と予後の関係。
非心臓手術。
そのReview。

42 Study。
臓器障害リスクは、
長時間(10分以上)、平均血圧が80以下、
平均血圧70以下なら、もっと短い時間の暴露で、
起きやすくなると。

平均血圧60ー65は、より短い時間で起きやすく、
平均血圧50ー55は、一回でも起きると、
リスクとなった、、、、、って。

ま、、、、
数とか質とかの問題はあるけどね。。。

いやあ、、、
収縮期じゃなくて、平均血圧で80以下だぜ⁈
すっさまじい数の患者がそれに暴露してますけど?って感じですが。。。
それって、患者の合併症とか、行う手術とか、かなり影響しそうな気もしますし。。
そもそも、、、
一部では、原因、理由は知らんが、収縮期のが、Outcomeに影響したって報告もあるし。
そもそも僕は、
低血圧になりやすい患者は、Outcomeが悪い、って事だと理解してるし。
事実、術前の血圧が低い方が予後が悪いなんて、内科医にゃ怒られそうな結果のStudyもあるしねえ。
信じないけど、、、、血圧は、昔よりは高めに管理するようにはしています。
でも、、、、そこまでは気にしない。




Association between preoperative ambulatory heart rate and postoperative myocardial injury: a retrospective cohort study

脈がゆっくりな人のが長生きする、と言われています。
術前の脈がゆっくりなほど、術後合併症も下がりそうな印象はありますよね⁈

脈は安静時。
心筋障害は、術後のTropで定義。

41 140 patients。
4857 (11.8%)がm心筋障害を起こした。

で、
安静心拍数90以上は、
60以下の群に比べ、心筋障害を起こしやすかった。
OR, 1.22; 95% CI, 1.06–1.39; P=0.005

ただ、
高い心拍数もそうだけど、
低すぎる心拍数も、
危険因子だと。J Shapeですな。
ま、
気持ちはわかる。
ただ、術中の心拍数を無視してもなお、データとして有意なのがすごいなあ。
ま、術前の脈が低い人は、術中もその傾向はあるからねえ。そう言うものか。
昔に流行った、今も一部では流行ってる、GDTは、脈とか気にせず、(一応100以下くらいにはとはされるが)心拍出量を増やす。
もっと昔に流行った、β遮断で、脈を抑えれば、心臓の負担を軽減できる、って言うね、真逆の時代がありましたが。。。。。
ま、、、、、
単純に、やりすぎはいかんよ、やりすぎは。
ってことに尽きると思ってしまいますわ。




Hypersensitivity incidence after sugammadex administration in healthy subjects: a randomised controlled trial

Background
スガマデックスは、いい薬‼︎
ただ、副作用は無視できんレベルかも知れん。

Methods
ボランティア系です。
多施設RCTで、
麻酔もかかってない状態で、以下の3つのどれかが投与されます。2:2:1に分配。

・スガマデックス投与(4mg/kg )
・スガマデックス16mg/kg
・プラセボ

コレを5週間ほどの間隔で、3回投与されます。

『hypersensitivity 』の評価は、
投与後 30分、4時間、24時間後。


Results
375 名。
この内、25名が、『hypersensitivity 』。

内訳は、
スガマデックス4mg群 10/151 (6.6%);
スガマデックス16mg群 14/148 (9.5%);
プラセボ 1/76 (1.3%)
だった。

プラセボに比べれば有意に頻度は高い。
一方、4tp16では、有意差なし。
また、時期、1〜3回目でも差はないって。

また、
3名(16mg群)で、
抗ヒスタミン、ステロイドの投与が必要だった。
エピネフリンを要した人はいなかった。
アナフィラキシーとなった1名(16mg群)は、治療で完全に回復した。
臨床的に有意なスガマデックス抗原、トリプターゼは見つからなかった。

Conclusions
興味深いね‼︎
一つは、やっぱ、頻度は高い‼︎
アナフィラキシーまでは行かんでもなんらかの反応は起こしやすい。
しかも、スガマデックスの暴露の有無に関わらず、起こすってんだから。
一方、投与するほど起こしやすくなるもんでもないってんだから、なんなんでしょ。
しかも抗原とか見つかるわけでもないし。
難しい、、、、けど。
こんないい薬、なんとかして、もっと安全性を向上すべく、データを見つけてかにゃいかん。
それまでは、、、、注意すること、のみですな。。。




Sugammadex hypersensitivity and underlying mechanisms: a randomised study of healthy non-anaesthetised volunteers


Background
同じくスガマデックス。
副反応のメカニズム。

患者は同じ方々です。

『Hypersensitivity』(とは言うがアナフィラキシーのことかねえ)は、
4mg 1/148 (0.7%),
16mg 7/150 (4.7%),
プラセボ 0/150 (0.0%)
で見られた。

スガマデックス16mgで、
1名で、Level1アナフィラキシー。
2名で、Level2アナフィラキシー。

主観的な評価は、バイアス要素がありそうだった。
客観的な証拠は出てこなかった。

Doseがでかいほど、副反応も出やすそうだと。
ま、実際の筋弛緩薬をリバースしてるわけじゃないんで、その結合物には、悪い作用はないはずではあるが、、、違いはあるけんね。

実際、4mgでも1%近くでアナフィラキシーが出るとなると、大問題ではあるわけで、、、。
ま、その数字は、ありえなくもないmと思える数字でもあり、、、ま、怖いですなあ。。。





Evidence-based management of pain after laparoscopic cholecystectomy: a PROSPECT review update

ラパタン、こと、
腹腔鏡胆嚢摘出の術後痛は、無視できん問題だろうと。
2006〜2017年のデータで疼痛スコアアリのRCT。

1988 RCT。
条件満たすのは、258 Study。
で、
推奨は、
アセトアミノフェン+Nsaidsか、Cox2。
それに、
術野に局所麻酔。

アセトアミノフェンとNsaidsは、
術前〜術中に投与されるべき。
デキサメサゾン(ステロイド)と共に。 (GRADE A).

麻薬は、レスキューとしての使用にとどめるべし。 (GRADE B).

ガバペンチン、腹腔内局所麻酔、TAPブロック、は、推奨しない。 (GRADE D)

手術の気腹圧は、低圧を推奨する。
術野の生食での洗浄を推奨する。
腹腔内は十分吸引する。
(GRADE A).

Single-port は、鎮痛目的には推奨されない。 (GRADE A).

ですって。
日本だと、
硬膜外入れて、
Remofenta狂ったように使って、
最後麻薬入れて、
はい、さよなら、みたいなね。。。
なんでこんなになっちゃったんでしょう?
若えやつも勉強しないから、それが普通だと思っちゃってるしね。
異常なんだよ⁈、君がしてること。




Persistent postoperative pain after total knee arthroplasty: a prospective cohort study of potential risk factors

人口膝関節置換後って、
慢性痛が出やすいんだってさ。
300名のTKA患者。
術後急性痛(安静、動作時)
手術因子(時間、麻酔タイプなど)
6、12ヶ月後疼痛評価、
が、行われる。

中等度以上の疼痛は、
術後6ヶ月 21% (n=60)
12ヶ月で、 16% (n=45)。

神経因性と思われるのは、それぞれ、
55% (n=33) と、60% (n=31)。

術前の疼痛、予期される疼痛、神経質、などからなる、情報で、慢性痛は予期できるんだって。

ふうん。
あんま、1年後の患者に会う機会ないけんね。
痛くてオペするのに、オペしても痛いんか。。。
ま、TKAという手術自体がどうなんだ、ってStudyもあるけどね。。。


以上。