愛情ホルモンの力 その2 | セントラルたなか鍼灸院

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こんにちは!

セントラルたなか鍼灸院の井手口猿です。

 

今年も残すところあと僅か。

巷ではなにかと「平成最後の〇〇」なんてことが言われますね。

 

そんな年越しを皆さまはどのようにお過ごしになるでしょうか?

 

 

 

前回担当させていただいた『愛情ホルモンの力 その1』に引き続き、今回もオキシトシンのお話です。

 

前回はオキシトシン研究の簡単な歴史と古典的な働き(分娩時の子宮の収縮、授乳期の乳汁射出を促す、授乳により母親のストレスを和らげ母親を健康にする)について紹介しました。

 

今回はオキシトシンが母子の心的な絆の形成にどのように関わっているのかについてのお話です。

 

 

 

新生児が与えるさまざまな感覚器官への刺激は、母親の養育行動を活発にしています。新生児は母親の臭覚器や聴覚器を刺激するほかに、さまざまな合図を送り母親と交信しようとします。こうした新生児からの合図は、育児を促すために重要な役割を果たすと同時に、母子の絆の形成を確かなものにしています。

前回お話した部分とも重なりますが、「陣痛」「出産」「乳児の母親への求愛行動」が引き金となってホルモンに変化が生じ、この変化が母親のオキシトシンの分泌を促すように働き、母親の脳内で増加したオキシトシンが乳児を育てる行動へと促しています。

 

新生児は自然に母親に引き寄せられます。母親の乳首から放たれる匂いは新生児を引き寄せるのに特別の効果があるからです。だから新生児は、生まれるとすぐに母親の乳首を吸うことができ、この最初の吸乳で母親を識別する“好み”が形成されます。この最初の吸乳後、子どもは匂いという化学的手掛かりによって自分の母親を認識することができるようになるのです。

この新生児の「匂いの記憶」もまた、オキシトシンが統御・調整を行っています。

 

また、母親からの体の触れ合いによる子どもへの触知刺激は、新生児の脳の発育・発達に非常に大きな影響を与えています。

哺乳動物の多くの種において、母親の育児行動には個体差が見られ、ラットの例では子どもをよく「舐め licking」「毛繕い grooming」をし、よく「背中を丸めて抱きかかえる arched-back nursing」母親(高LG-ABN)がいる一方で、ぞんざいな育児をする母親(低LG-ABN)がいます。

母親の育児行動、および子どもを守るための攻撃行動を担っている脳内の多くの部位で、「高LG-ABN」を示す母親の方が「低LG-ABN」を示す母親よりも多量にオキシトシン受容体が出現していました。側脳室に薬液を注入して中枢効果を見る実験手法を用いて、「高LG-ABN」を示す母親に「オキシトシン受容体の拮抗剤」を注入したところ、この母親は見事に「低LG-ABN」母親に変化したのです。この結果は正常な母親の育児行動には、脳内のオキシトシン受容体の活性が不可欠であることを示しています。また、「高LG-ABN」母親から生まれ育てられた子どもの偏桃体では、オキシトシンとオキシトシン受容体の結合がより盛んに観察されました。

  

育児期間中に形成される母子の絆は、その子が成人に達するまで影響を与え続ける点で特異といえます。

いくつかの調査研究の結果から、幼少期における両親と子どもの親子関係の健全性、あるいは不健全性が、その子どもが成人に至るまで、オキシトシン合成・放出に関する機能に影響を与えている可能性が示されています。その後、若者の血漿中のオキシトシン濃度と、彼らが幼少期に受けた両親からの愛情の量には深い相互関係が認められることが確かめられました。

  

子どもが母親から高いレベルのケアを受けると、その子のオキシトシンシステムが刺激を受け、母親をさらに求めるようになります。そうなると母親は、子どもが母親にねだる触れ合いや、子どもの(聴覚・嗅覚・音声・視覚を介しての)投げかけに一層の丁寧さと熱心さで応えようとします。こうして子どもと母親の間にオキシトシンのシステムを媒介として相互に愛着・愛情を基礎にした揺るぎない絆ができるのです。

 

母親の「育児パターン」が世代間で継承される現象は霊長類・人類共通に見られます。人間の例では、児童虐待などは驚くほどの確実さで次世代に引き継がれていますが、もし子どもが母親から高いレベルのケアを受けると、その子は高い機能のオキシトシンシステムを持つことになり、成長して母となった時、オキシトシンを原動力とした健全な育児行動を取るでしょう。かくして、オキシトシンを媒介とした「育児行動」を誘発するループは、世代を超えて継承されていきます。

 

母子の絆が形成されることの重要性は、その親子単体のみならず、種の保存という観点からも未来へとつながる大切なものであると言えそうです。

その重要なシステムを担っているのが、愛情ホルモンとも呼ばれるオキシトシンです。

 

 

 

年末年始には大寒波の到来が予想されています。

みなさまもどうぞご自愛いただき、良いお年をお迎えください。

 

来年もまた、みなさまの健康的な毎日の一助に、セントラルたなか鍼灸院がお役に立てれば幸いです。

 

 

 

セントラルたなか鍼灸院

井手口 景

 

 

参考文献『人は愛することで健康になれる 愛のホルモン・オキシトシン』高橋 徳 先生 著