看取りの救急搬送 | 介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

世間の介護事情や認知症介護についてあれこれ言いあう場。政府だけに頼らず手っ取り早く現場を変えられるのは介護職員です。

私の職場は老健です。
基本在宅復帰を前提とした介護が行われていますが、介護保険法により老健でも看取りを行う場合は多々あります。

食事が取れなくなり、よいよ終末期となると、ご家族と看取りに向けたカンファレンスが行われます。
そこで延命処置は行わない、救急搬送はしないという契約を行なって、最期の場は施設で過ごされることになる訳ですが、時々このような話し合いがあっても、一悶着する時もあるんですよね。





施設の医師も、よいよとなった場合にはもう一度、家族の意志を確認して
延命処置をするか救急搬送するか確認します。
大抵のご家族は「そのままで」という答えが返ってくるのですが、時々救急搬送して欲しい……… 延命処置をして欲しいと言ってくるご家族もいる訳です。

大切な家族が最期の時を迎える間際で
気が動転する気持ちも十分わかります……






随分昔の話になりますが、施設で看取りとなった利用者さんの奥さんに、もしかしたら今夜が山かも知れないという連絡を入れました。
そうしたらこの土壇場となり、急に救急搬送して欲しいと奥さんが言い出したのです。

まあ〜、このようなことは決して珍しいことではないので、奥さんの希望どおり救急搬送をしたのですが、翌日となってその利用者さんの娘さんから「看取りは施設でとお願いしたはず」とクレームが来たのです。

法人としてもキーパーソンである奥さんに確認を得て搬送した訳で、こちらから搬送を止める訳にはいきません。
看取りカンファレンスの場でも、よいよとなった場合でも気持ちの変化は誰にでもあるので、気持ちが変わった場合はいつでも言ってくださいと説明はしていました。


結局利用者さんは救急搬送先で亡くなったのですが。







実際、家族の間で看取りに関して話し合いができていたのかわかりません。

話し合いができていたとしても、旦那さんの最期の瞬間に気持ちが揺らいだことも考えられます。


また施設の中では、看取りなのに救急搬送?と陰で噂している職員も沢山いました。
でも私は奥さんの気持ちもわかるんですよね………
また娘さんの気持ちも……


施設での看取りは毎回ではありませんが、このような事の繰り返しが
当たり前のように起こっています。
とても意味深い施設でのひとこまです。