1985年の全米1位曲 1 | ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

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1985年の全米1位曲 (26) 前半10曲



1985年はとにかくバラードが多く、サントラのヒットが多かった年でした。音楽全体としてはブリティッシュインヴェイジョンのブームは収まり、ブリティッシュ出身のアーチストもUKらしさが抜けて、全米向けの曲を出すアーチストだけが生き残ります。その代表はWhamであり、この年に一番活躍したPhil Collinsでした。そしてこの年にWhitney Houstonがデビューをしました。80年代を代表する歌姫はそのパワフルな歌声とともに一躍スターダムに駆け上がります。



■ I Want To Know What Love Is / Foreigner 2W

ニューヨークで結成されたハードロックバンドForeignerの全米1位曲です。2月2日付から2月9日付まで2週間1位を記録しています。Foreignerは1977年にデビューすると「Feels Like The First Time」(全米4位)、「Cool As Ice」(全米6位)などのシングルヒットを放ち人気ロックバンドとなります。バンドはハードなギターロックが特長でしたが、1981年にはアルバム『4』からバラードの「Waiting For A Girl Like You」が2位を10週間記録するビッグヒットが生まれていました。「I Want To Know What Love Is」はバラードの85年の最初にふさわしい曲で、イントロからサビの大合唱まで荘厳な雰囲気が漂います。



■ Careless Whisper / Wham! ( Geroge Michael) 3W

Whamの最大のヒット曲にして、George Michaelの名前を世界中に広めることになったナンバーです。アルバム『Make It Big』から2曲目の全米1位で、2月16日付から3月2日付まで3週間1位を獲得し、1985年の全米年間シングル1位曲でもあります。歌詞はストーリーになっていて、切ないメロディと歌詞が見事に融合しています。タイトルの「Careless Whisper」は途中に出てくるフレーズですが、PVでは歌詞の世界そのままにまるでドラマのように展開します。80年代の名曲の一つと言えるでしょう。この曲が85年の全米年間1位シングルで日本でもカバーされて大ヒットしました。



■ Can't Fight This Feeling / REO Speedwagon 3W

1980年にアルバム『Hi Infidelity』が大ヒットし、シングル「Keep On Loving You」が1981年に全米1位を獲得したChampaignで結成されたロックバンドREO Speedwagonの2曲目の全米1位曲です。3月9日付から3月23日付まで3週間1位を記録しています。邦題が「涙のフィーリング」ですが、タイトルそのままの愛する気持ちを抑えられないと歌う切ないラブソングです。PVがまた秀逸で、子供が誕生するところから始まり、恋愛、結婚、子供の誕生、そして最後までドラマチックに描きます。シンプルなラブソングながらPVと併せて抑えきれない感情によって人生が動かされているということを感じさせます。



■ One More Night / Phil Collins 2W

UKのロックバンドGenesisのメンバーPhil Collinsは80年代は世界的なビッグヒットを連発していくヒットメイカーでしたが、その絶頂期となったのが1985年でした。アルバム『No Jacket Required』はGrammy賞のAlbum Of The Yearに輝き、「One More Night」を含む2曲が全米1位に、4曲がTop10ヒットに入りました。その最初となった「One More Night」は3月30日付から4月6日付まで2週間全米1位を獲得し、通算で2曲目の全米1位獲得となりました。曲はシンプルなコードながら一度聴いたら忘れられないメロディのバラードで、Phil Collinsのメロディメイカーとしての才能が感じさせられる1曲になっています。Phil Collinsといえば名バラードという感じで、この後80年代には数々のヒットを手掛けるようになります。



■ We Are The World / USA For Africa 4W

UKのアーチストが参加したBand Aidとチャリティーソング「Do They Know It's Christmas1」はアーチストによる社会参加のきっかけとなったナンバーでしたが、その流れは全米に移り、USA For Africaの「We Are The World」になりました。中心となったのは作曲をしたMichael JacksonとLionel RichieとプロデューサーQuincy Jones。アフリカ援助のためのチャリティーソングですが、大物アーチストによる参加が話題となって、当時としては異例ともいえる400万枚を売り上げて4月13日付から5月4日付まで4週間1位を記録しました。アーチストそれぞれが個性を出していますが、Cyndi Lauperのアドリブで入れた合いの手、そしてBruce Springsteenの魂から歌った歌がアクセントになっていました。歌っているのは登場順にLionel Richie、Stevie Wonder、Paul Simon、Kenny Rogers、James Ingram、Tina Turner、Billy Joel、Michael Jackson、Diana Ross、Dionne Warwick、Willie Nelson、Al Jarreau、Bruce Springsteen、Kenny Loggins、Steve Perry、Daryl Hall、Huey Lewis、Cyndi Lauper、Kim Carnes、 Bob DylanにRay Charles。ChorusでPointer SistersやSmokey Robinson、Bette Midler、Sheila E、Bob Geldof、Randy JacksonやLatoya Jacksonなどが参加しています。



■ Crazy For You / Madonna 1W

「Like A Virgin」で一躍時の人となったMadonnaの恋人ショーンペン主演映画『Vision Quest』からのシングルで、5月11日付で1週間1位を記録し、Madonnaにとって2曲目の全米1位となりました。「Like A Virgin」の1位で一気にブレイクしたMadonnaでしたが、2曲目にカットされた「Material Girl」はREO Speed WagonとPhil Collinsに阻まれ最高2位を2週間に留まります。4月6日付ではいきなり登場したUSA For Africaが2位まで上昇したことにより「Material Girl」は3位に後退してしまいます。しかしこの時に4位に上昇してきたのが第2の矢となった「Crazy For You」でした。強敵USA for Africaが1位を獲る間、4月20日付から3週間2位をキープし、4週目にしてUSA For Africaを破り1位を獲得したのでした。Madonnaにとって2曲目の全米1位はMadonnaの勢いを加速させ、さらにはダンスポップだけじゃなくバラードも歌えることを証明したということで「Like A Virgin」以上に大きな意味があるものでした。曲はCarpentersの「Top Of The World」を書いたJohn BettisとEarth Wind & Fireの「Boogie Wonderland」を書いたJon Lindという想像つかないコンビによるものですが、サビに向けてドラマチックに盛り上がる感動的なバラードで、「Crazy For You」というタイトル通りに切ないラブソングになっています。



■ Don't You ( Forget About Me) / Simple Minds 1W

スコットランドはグラスゴーで結成されたロックバンドSimple Mindsの初の全米1位曲で、5月18日付で1週間1位を獲得しています。映画『Breakfast Club』から。ポップで勢いのあるロックトラックですが、「Don't You」というタイトルと共に当時は評価が真っ二つに分かれたナンバーでした。Simple Mindsは続けてサントラからではなくアルバム『Once Upon A Time』から「Alive And Kicking」というSimple Mindsらしい壮大なロックトラックで全米3位を記録するなど活躍をしました



■ Everything She Wants / Wham ! 2W

Whamの大ヒットアルバム『Make It Big』から3曲目の全米1位曲で、5月25日付から6月1日付まで2週間1位を記録しました。アルバム『Make It Big』はこの後にも全米1位こそなりませんでしたが代表曲とも言える「Freedom」(4位)のヒットも生まれ、一気に世界の頂点に立ちます。しかし続くアルバムで解散を発表し、George Michael はソロとして活動していくことになります。「Everything Whe Wants」はGeorge Michaelらしいメロディアスでこねくりまわすような長尺なバラードナンバーで、後半に同じような展開にならずに最後まで変化していくあたりが素晴らしいです。



■ Everybody Wants To Rule The World / Tears For Fears 2W

Roland OrzabalとCurt Smithを中心としてEnglandはBathで結成されたTears For Fearsはブリティシュインベイジョン盛り上がる1982年に登場して「Mad World」(全英3位)、「Change」(全英4位)、「Pale Shelter」(全英5位)とヒットを放ちますが、全米上陸とまではいきませんでした。そして1985年にブリティシュインベイジョンの波が収まった時に2ndアルバム『Songs From The Big Chair』を発表し、「Everybody Wants To Rule The World」が6月8日付から6月15日付まで2週間全米1位に輝きました。初期のようなシンセサイザーポップスからうって変って壮大で心地いいメロディラインにメッセージの強い歌詞が加わりブリティシュインベイジョン後の活躍に繋がっていきました。



■ Heaven / Bryan Adams 2W

カナダはオンタリオ出身のロックシンガーBryan Adamsの初の全米1位曲で、6月22日付と6月29日付の2週間1位を記録しています。Bryan Adamsは1980年にデビューすると1983年のアルバム『Cuts Like A Knife』から「Straight From The Heart」が全米10位のヒットを記録してブレイクします。1984年に発売された『Reckless』では先行シングルの「Run To You」が全米6位し、パワーバラード「Heaven」で全米の頂点に立ちました。美しすぎるメロディの光るバラードで、多くのTVをバックに歌うSteve Barron監督のPVもまた秀逸でした。2001年にはDJ Sammy & Yanouがダンス曲にカバーして全米8位を記録しています。アルバム『Reckless』からは6曲の全米Top40ヒットを放ち、ヒットメイカーとしての活躍に繋がっていきました。


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