Watch The Pop Music Video | ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

過去と現在の洋楽シーンをチャートデータをもとに紹介するページ(週一更新予定)

Watch The Pop Music Video - British Invasion -


カルチャー・クラブ
カラー・バイ・ナンバーズ


最近の曲だけじゃなくて、昔の洋楽ヒットも聞いてみよう!というコーナーです。大体週1のペースで10曲程紹介していきます。なお、それぞれのビデオはYoutubeにリンクしています(別ウインドウで開きます)。ビデオが見られることを確認していますが、時と場合によっては見られない場合があります。


83年から84年にかけてUKのアーチストが全米チャートを圧倒する出来事が起こります。かつて64年にもBeatles、Rollings Stones、Kinks、Manfread ManなどUKのバンドが全米チャートを圧倒したことがあり、83年の出来事は(第二次)ブリティッシュインベイジョンと呼ばれています。最も大きな理由は80年代から始まったMTVによりUKのアーチストがツアーやプロモーション活動をせずともアーチストの曲が流れるようになったことです。元々プロモーションビデオはUKでは早くから力が入れられていたこともあり、Julian TempleRussell MulcahayGodley And Cream といった名ビデオクリップ監督により優れた作品が作られ、自然と全米のお茶の間にも曲が流れるようになっていったのです。もう一つは70年代後半から始まったニューウェーブサウンドが当時の音楽のメインストリームになっていて、UKのアーチストが得意としているテクノポップなどのポップミュージックでヒットが出せたことです。


80年代初頭からUKではニューロマンティックスと呼ばれる音楽が登場します。これは70年代後半に登場したUKパンクの暴力性から、全く反対の中世の貴族のようなファッションに身を包んで、華麗で知的なロックという、70年代のグラムロックの変形のようなものが生まれたものです。代表的なのが82年にアルバム『Rio』を発表したDuran Duranやその次に紹介するSpandau Balletで、これがビジュアルが物を言うMTVに見事にはまりました。Duran Duranのこの曲はRussell Mulcahayにより高額なビデオクリップが作られ、結果として全米チャートで3位に入る大ヒットを記録します。


Duran DuranのHungry Like The Wolf (83年全米3位)


ニューロマンティックスの代表Spandau Balletは、アルバム『True』からこの曲に代表されるソウルフルなサウンドを取り入れ、全米で大ヒットを記録します。日本のCMでもよく使われている名曲で、90年代にはPM Dawnによりサンプリングされ「Set Adrift On Memory Bliss」が91年に全米1位に輝いています。


Spandau Ballet でTrue (83年全米4位)


このころのUKアーチストの特徴はシンセポップを軸にしてレゲエ、ソウル、ファンクといった音楽を貪欲に吸収してカラフルなポップスを展開していました。代表的なのはCulture Clubで、この曲はソウルサウンドを上手く取り入れて全米で2位に入るヒットを記録します。個人的にもCulture Clubの中でベストの曲だと思っています。様々な形で時計が登場するビデオクリップも名作です。


Culture Club でTime (83年全米2位)


一部ではニューロマンティックスはビジュアル系バンドのムーブメントと言われるほど、83年のUKバンドはアイドル的な人気がありました。シンセポップサウンドのKaja Goo Gooのボーカル、リマールもアイドル的な人気があり、全米ではこの曲が3位に入るヒットを記録するに留まりますが、日本ではDuran Duran、Culture Clubと並び御三家と言われていました。少なくとも私の地元では凄かった(笑)。


Kaja Goo Goo で Too Shy (83年全米3位)


ニューウェーブのテクノサウンドはこの頃も人気がありましたが、デイブとアンのコンビによるEurythmicsは独特の美学があって、アンのエモーショナルなボーカルがいい味を出していました。個人的にはこの曲の歌詞が好きで、いつでも歌っていたい80年代の名曲だと思います。83年に全米1位を1週間記録しています。


Eurythmicsで Sweet Dreams (83年全米1位)


Depeche ModeやHuman Leagueと並びデジタルポップの代表がThomas Dolbyでした。邦題「彼女はサイエンス」というコミカルなナンバーは全米チャートで5位に入るヒットを記録します。日本では84年のヒット「Hyperactive」が良く流れていたように思います。


Thomas Dolby でShe Blinded Me With Science (83年全米5位)


ブリティッシュインベイジョンの嵐は大御所までもヒットを飛ばすようになります。60年代に活躍したKinksの「Come Dancing」が全米で6位に入るヒットを飛ばせば、70年代のUKパンクの雄Clashはこの曲で全米チャートで8位に入るヒットを放ちます。Will Smithが99年に「Will 2K」でサンプリングしてヒットを飛ばしています。


Clash で Rock The Casbah (83年全米8位)


スカバンドのMadnessも80年代の初めから日本のCMなどでも知られるほど活躍していましたが、ブリティッシュインベイジョン時には全米チャートでこの曲が83年に7位に入るヒットを記録します。この頃のブレイティッシュバンドの曲はメロディアスな曲が本当に多いですが、この曲もいい感じです。


Madness でOur House (83年全米7位)


わりと80年代UKポップス好きには外せないのがテクノポップバンドのFixxで、いろんな80sサイトを見ても良く名前が上がっています。独特のアングラっぽさが魅力のこの曲は83年の全米チャートで4位に入るヒットを記録しています。


The Fixx でOne Thing Leads To Another (83年全米4位)


これまでのテクノシンセポップとはちょっと違ったサウンドで、ストリングスを上手く使った曲にDexys Midnight Runnersのこの曲があります。60年代オールディーズの臭いも漂わせながら、華やかなポップミュージックでUK(4週)、US(1週)ともに1位を獲得しています。曲の後半で音のテンポが徐々に速くなっていくあたりが聴き所。80'sの名曲の一つです。


Dexys Midnight Runners で Come On Eileen  (83年全米1位)


Bananaramaと言えば、誰もが「Venus」(88年)のディスコヒットを思い出すかもしれませんが、もともとは本来の意味のポップユニットでした。「ちょっと真ん中の子大きいぞ」などと言ってはいけません。84年に全米チャートで9位に入るヒットを記録しています。90年代にはAce Of Baseによってカバーされてヒット(98年10位)しています。


Bananarama で Cruel Summer (84年全米9位)


UKのバラエティタレントTracy Ullmanもブリティッシュインベイジョンの勢いで全米で84年に8位に入るヒットを放ちます。しかしこの曲は原曲が良くて、私も尊敬するKirsty MacCollの書いたナンバーで、60年代のゴールデンポップスの雰囲気が堪りません。ビデオクリップの最後にはPaul McCartneyが登場しています。


Tracy Ullman で They Don't Know (84年全米8位)


70年代にはJamとしてUKロックの頂点に立ったPaul Wellerは80年代にはJamを解散してよりスタイリスティックなサウンドを目指したStyle Councilを結成します。これもUKではヒットを連発する活躍を見せますが、全米ではこの曲が唯一のTop40ヒットになります(84年29位)。


Style Council で My Ever Changing Moods (84年全米29位)


ブリティッシュインベイジョンの終盤に登場したのがHolly Johnsonを中心としたFrankie Goes To Hollywoodです。トレバーホーンをプロデュースに迎えて全英ではTwo Tribesが9週1位を獲得するなど圧倒的な人気を誇りました。全米での最高のヒットはこの曲で85年に入ってから10位に入るヒットを記録しています。


Frankie Goes To Hollywood でRelax (85年全米10位)


今回の特集のラストはこの曲です。ボブ・ゲルドフが提唱して作られた音楽を通じてのエイド活動、Band Aidはその後USA For Africaにも受け継がれるなど影響を与えました。ビデオにはPhil Collins、Paul Young 、Style Council、Duran Duran、Culture Club、Sting、U2、George Michael、Bananaramaなど当時のUKを代表するアーチストが勢ぞろい。全米チャートでは84年に13位を記録しています。


Band Aid で Do They Know It's Christmas  (84年全米13位)


ということでブリティッシュインベイジョン特集でした。では