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夕べのしつこいスコールもやっと止み、
デコボコの舗装は、
一面の水たまりに、
点々とコンクリ舗装の島々が浮いています。
よく聞く音がします、
そのよく聞く泣き声は、
輪唱するよう交互に、
「ミャォミャォ、ミャォミャォ」と止まず、
2匹が「お母さんお母さん、お母さん」と。
1匹がトコトコトコとやって来て、
少し遅れもう1匹も。
2匹の仕事は二つ、
「お母さんお母さん」と泣くことと、
そのお母さんのオッパイを飲むこと。
オシッコとウンチは仕事ではなく、
身体が勝手にやってくれます。
足元、
2匹は身体をこすりつけ、
つま先をチョロり、チョロりと舐め、
また「お母さんお母さん」と泣きます。
1匹が見上げ、
ゆっくり前足を伸ばして、
鉛筆の頭についている、
消ゴムみたいな小さな肉球で、
ズボンにそっとふれます。
ズボンに肉球がそっとふれ、
その瞬間、イチコロになっちゃう人、
けっこういるでしょう。
自身の手のひらを、
ショベルカーみたいにして、
チビのお腹をそっとすくいあげ、
家へと連れて帰らずにはいられない、
そんな優しい人が。
チビの仕事は、
「お母さん、お母さん」と泣き、
そのお母さんのオッパイを飲むこと、
そしてもうひとつ、
手のひらを優しく、
ショベルカーにさせること。





