12:30
トリルのガイサノ(総合スーパー)モールから、
市街へと抜けるリム・ストリート沿い、

黄色いワゴンはアイスクリーム屋さん、
そのお父さんもワゴンを押す手を止めて、
目を凝らして、
探しているモノ、

ビーチサンダルの山。
汚れてはいるものの、ほとんどが新品で、
底には、値札が貼ってあるモノもあります。
トライシクルドライバーもバイクを停め、
似通った左右を、コンクリート舗装路わきに並べ、
その底どうしを合わせて、同じセットを探しています。
ボク、知ってるビサヤ語をテキトーに組み合わせ、
「これ、どこから来たの?」
ドライバー「たぶん、NCCCモールだよ」
ボク「ぁ~、そっかぁ~」と、独り言が出ます。
「NCCCモール」は、
トリルからダウンタウンへ向かう、
マッカーサー・ハイウェイ沿いにありました。
昨年末の大火事でモール建屋は半壊、
39人が亡くなり、
今、外周りを高いフェンスに囲まれ、
大がかりな解体作業中です。
それならば、汚れていても、ほとんどが新品で、
中には、底に値札が貼ってあるのも判ります。
どうやら、捨てられたのではなく、
「勝手に持って行って」ということのようで、
捨てる(この場合、置く、かな?)側と、
拾う側、双方にメリットがありそうです。
みな真剣に、どこかにあるはずの片足を、
すでに見つけた片足を手に探しています。
そしてペアを作っては、舗装路わきに並べて、
また、次のペアを作り始めます。

ボクはそのままマーケットへ、
バナナと、少しの野菜を買いに歩き始め、
献血でもらったウチワで扇ぎながら、
思わず、
「あ~っ!」と声をあげてしまいます。
ボクはポカンと口を開けたまま、
しばらく行き先を見つめ、
そして振り返り見て、
「あのビーチサンダル、売るんだぁ」と、また独り言。
それに気がつき、
どうりで一生懸命になって、
ペアを探しているわけです。
マーケットで普通のビーチサンダルは50ペソ、
もし、一足20ペソで20足売ったら400ペソ、
ダバオの定める最低賃金は340ペソです。
洗う手間はかかるものの、
元手はタダですから、
まぁ、悪くないです。
ボクは無意識に、またウチワで扇ぎ始め、
少しニヤけながら、小声で、
「マイッタね」と、
足下のトレッキング・シューズを見つめ、
マーケットへ向かいます。