トリル
19:15
夕方から、揚げ物、焼き鳥など屋台が30ほど並ぶ、
マーケットの通り、

手のひらに握れるほどの唐揚げ10ペソ。
昨年末から、原燃料をはじめ様々なモノが値上がりし、
唐揚げも、大きいモノと、小さいモノとを作り分け、
大きいモノが15ペソ、小さいモノ10ペソ、
これも庶民の防衛策でしょう。
屋台のLED電球下、
店の兄ちゃんが粗目のザルで、泡立つ油の大鍋から、
まだ油の泡が消え切らない唐揚げをすくい上げ、
ステンレスのバットへとひっくり返します。
待ってましたと、選び始めたお客さん、
それまで笑いながらのオシャベリもやみ、
その目は真剣そのものです。
そんな唐揚げ、たまに頭に浮かんできて、
頭の中は、唐揚げ、唐揚げ、唐揚げとなり、
マーケットへ向かうんです (笑
フィリピン人の友人にその話をすると、
友人「あそこの油は、カーシノジェンだぞ」と、
カーシノジェン ( carcinogen )を、
三省堂ニュー・コンサイス辞書で調べると、
「発ガン性物質」と、
なかなか知的な友だちです (笑
平台の上、
ステンレス・バットに盛られ、
油の湯気が見えそうなほどの、
カーシノジェン。
日本の駅前でもらったポケット・ティッシュを、
一枚つまみ出し、ポケットへ軽く挿しこみ、
屋台前、お客さんの間に半身で肩を入れ、
ゆっくり正面に向きを変え、
自分のポジションを確保し、
ゆがんだトングを手に、じっくり選びます、
みんなと同じ目つきをして (笑
透けそうな黄色いレジ袋を渡され、
右手のトングがくわえた、
一番美味しそうなヤツをそこへ落とし、
店のお母さんの手のひらへ15ペソ乗せます。
レジ袋越しに、ァチ、ァチィ~と、
空気も吸いこみながら、そっと前歯を立てて、
「今日は、いいヤツ選べたなぁ~」 (笑
食べ終え、
ポケットに挿したティッシュをつまみ、
指先と口元を拭き、平台下のゴミ箱へ、
みなさんは、ズボンで拭いてます、
きっと、それが正式なスタイルでしょう、
ボクも見習うかな (笑