トリル
13:30
ガイサノ(総合スーパー)モールと、マーケットの間、
陽射しは徐々に傾き始め、
コンクリート舗装路に落ちる影は、
午前とは反対側へと移っていきます。
その陽射しの動きは、
仕事中のお父さんを急かします、

お父さんは反対側の日影へ移り、
何事もなかったように仕事にもどり、

左手の甲の上、絵筆を持った右手をそっと重ね、

左手をガイドに、絵筆を正確に送ります。
「 MOMMY 」のロゴはローカルのケチャップ、
そこは、やはり赤は欠かせないようです。
サイドカーの持ち主も、
描くお父さんも、ともに無口、
聞こえるのは、通り過ぎるバイクの音だけ。
ヒマな子どもたちが立ち止まり、
眺めていても、ゆっくりと進む絵筆に、
じれったくなり行ってしまいます。
前、横、後の3ヶ所で500ペソ、
デコボコ面でカッティングシートが貼れなくても、
お父さんの絵筆には問題なさそうです。
