この時期、ダバオの山間部から「バッジャオ」と呼ばれる人たちが、
ここトリルへもやって来ます。
バッジャオとは本来、ある山間部に住む部族のことですが、
「物乞い」と同義語としても使われてもいます。
クリスマスの寄付、
「Mamasko /ママスコ」、
この時期は皆の財布の紐も緩みやすく、
そこへ、バッジャオたちが流れ込んで来ます。
トリル、
マッカーサーハイウェイ交差点、
バッジャオの少年たち、

4インチの塩ビ排水パイプで作ったドラムを両膝に挟み、
トライシクルドライバー、お客さんへと、
身体で覚えたリズムを打ち始めます。
少年はドライバー、お客さんと、
手が届く距離をたもち、
その一打一打は、寄付する気持ちを後押しし、
ドライバーが自身のポケットへ手を入れ、
または、お客さんが両太ももの上に置いたバッグへ手を入れ、
一連の流れのように、少年はそこへスッと手を差し出し、
「気持ち」を受けとります。
中には、少年たちを呼び寄せ硬貨を渡す人もいて、
この習慣が、ここでは普通に馴染んでいるようです。

赤信号の間、
停車するトライシクル、乗用車を次から次へと、
縫うように周り、ドラムの乾いたリズムが響きます。
少年たちは打ち続け、
白く眩しいコンクリート舗装に、
その影が映ります。