6:30
少しフチが欠けたカップのコーヒー、
模様がうすくなったメラミン皿、
パンデサール(小さなバターロール風)、
近所のチェーン店パン屋、
「 Panaderia 」でゴハン。
アパートからは、
バナナや、小ぶりのトマト、
たまにニンジンを持って来て、
いっしょに食べたり、
困ったお客さんのボク(笑

店の前、
コンパネにこげ茶で塗られた、
テーブルとイス、
そこへ向き合って座る2人の少年、
脇腹が丸見え、ダブダブのノースリーブ、裸足、7歳くらい、
もう一人は、
上は裸で迷彩柄の長ズボンに、
ビーチサンダル、10歳くらい、
ホームレスの子どもです。
この近辺、
同様な女子7~10歳くらいまでが、
5人いて、
みな、誰かにもらった服を着ていて、
それほど不潔には見えず、
また、パン屋のお客さんへパンや、
小銭をねだり、お客さんもわりと、
それに応じて、会話もあったりして、
子どもたち、
飢えているようには見えません。
「あげる、もらう」というより、
「渡す、受けとる」そんな感じです。
これはフィリピン人が特別優しい、
ということではなく、
ただ「そうし慣れている」、
ということでしょう。
そして、先進国ではそういう形での、
金品のやりとりには、
「もう慣れていない」、
そんな気がします。
2人少年はボクをジッと見つめ、
ボクもそれを受けます。
どうやら、
外国人のボクが珍しいようで、
2人とも、ゆっくり入って来ようと、
店のコンクリート柱に沿って埋め込んである、
シャッターレールを越えた途端、
女性店員のジョイスがキッとなり、
「外出て、外よ!」外を指さします。
20代、チビのジョイス、
声だけデカイ、ジョイス、
ですが、頼りになる、ジョイス(笑
少年たちは、しぶしぶ元へと、
今度はボクが2人を見つめ、
メラミン皿からパンデサールを2個とり、
2人へ歩みよります。
ボク、パンを渡す時に「名前は?」
年少の子「チャンチャン」。
こういう「繰り返す」名前、
(実際はニックネーム)
特に「ン」を含む、
「ジュンジュン」「ジャンジャン」、
のような名前多いです。
年長の子「キーアン」
ボクは名前を訊いた後、
もう癖になっている質問、
「何歳?/ Pila imong idad ? 」
には、口を閉じておきます。
2人に1個ずつ渡し、
2人の口元が少しだけゆるみ、
黙ってかじり始め、
ボクは内心「お礼なんて言われなくって、良かった」と。
その帰り、
コンクリート舗装路を渡っていると、
黄色い機体のセブパシフィックのエアバスが、
ダバオ空港へ着陸態勢の腹を見せて飛び去ります。
来月、ダバオからセブ、そして成田へと、
ボクを運んでくれるエアバス。
日本のスターバックスで、
真っ白いカップに注がれた、
本日のコーヒー。
丸亀製麺で茹でたてのうどんが、
ツヤツヤと蛍光灯の光を反射します。
そんな時、
ダバオでの少し欠けたカップや、
メラミン皿のこと、
ボクは思い出すのでしょうか。
仔犬のような黒い瞳で見つめる、
チャンチャンと、
キーアンを思い出すのでしょうか、
そして、
それらを懐かしむのでしょうか。
それは、もうすぐ判ります。