引っ越したアパート前、
片側二車線のコンクリート舗装路、
チェーン店のパン屋が道路沿い点々とあり、
朝ごはん、小腹がすいたときのオヤツ代わり、
みなさん、けっこう食べ(過ぎ)ます。
植木がテキトーに植えられた、
中央分離帯があり、対向車線へは行けず、
道路を挟んで向かい合うお店もあったり。
15:00
ボクは歩きで中央分離帯の切れ目を渡るか、
乗り越え、道路向こうか、こちら側にするか、
その日の気分で、どちらにするか、ちょっと考えます。
ちょっとだけですが(笑)
無愛想だけど美味しい(※フィリピン基準デスよ※)店、
愛想いいけど、イマイチなお店かを。
「天は二物を与えず」とは、よく言ったもんです(笑)
その日、暑さに灼かれたせいか、
愛想いいけど、イマイチなお店へ行ってしまい、
ガラスカウンター越しに「バナナケーキ」5ペソを、
愛想(だけは)いい、
いかにもミンダナオの田舎から出て来た感じの、
小柄で日に灼かれた、アイリス(女性20歳)から、
半透明の小さなレジ袋へ入れて、手渡され、
振り返ると、バンダナを頭に結んだ男性。
蜘蛛のように音もなく背後に立つのは、
リッキー(男性30代?)
右腕をだらんと垂らし、左手で肘を掴む格好で、
ジッと、黙って、お客さんの後ろに立つリッキー。
すかさず、
アイリスが「リッキー、あっちへ行って!」
リッキーは、怒っているようでも、
悲しんでいるようでもなく、
ただアイリスをジッと見つめます。
ボクはお店の前で、
カウンターの中のアイリスと、
外のリッキーを交互に、
目玉だけ左右に動かし、
「危ないのか、そうでないのか」、
その場の雰囲気、フィリピンでの今まで経験したこと、
大急ぎに頭を回転させますが、
リッキーはヒョロっとした、無口な物乞いで、
人に危害を加えるようには見えず、
ただ、ジッと立っているだけ。
と、アイリスがホウキを手にカウンターから出て、
リッキーを追い払う叩くポーズ、
無表情のリッキーが、とっさにホウキの毛を力強く、
握り掴まえ、予期せぬその行動にアイリスも一瞬ひるみ、
ボクが半歩踏み出そうとする前に、
アイリスが、プラケースに積んであった、
コーラの8オンス(237ml )空瓶をリッキーの足元へ投げつけ、
瓶が砕け、彼女はさらにもう一本投げつけ、
リッキーの手は、弾かれたようにホウキを放し、
アイリスをジッと見つめたまま、立ち去ります。
一瞬の出来事です。
リッキーは別に危険でも、なんでもなく、
ただ、お客さんからの小銭か、
パンを一個か二個もらいたいだけ。
そして、アイリスも、
ちょっとイライラしていただけ、みたいです。
ですが、
もし、リッキーがホウキを放さなかったら、
ボクは、とっさの行動を起こせたのか、
ん~、自信ないなぁ~。
それとも、
アイリスが護ってくれたりして(笑)
