サリサリストア経営のエディ(男性34歳)は、
奥さんに「チクチクしてイヤぁ~」と言われ、
最近剃ったアゴ髭のあとをさすりながら、
「ビサヤ(エリア)にいるんだから、
ビサヤ語話さなきゃダメダネ」と。
ボクに会った頃は、
「忘れかけてた英語を、思い出すいい機会ダヨ」と、
喜んでいましたが(笑)
彼は、ペットフードのペディグリー、スニッカーズ、
m & m チョコレートを扱うフィリピン大手商社の、
トップセールスマンだっただけあって、説明するのがとても上手。
例えも、とても的を得たモノで、
その例文には、度々お世話になっております(笑)
ここのサブディビジョン(住宅地)、トリル周辺、
ジム、セブンイレブン、カレンデリア(庶民の食堂)、
どこでも、ボクがコクヨの小さなメモ帳を手に、
「ビサヤ語で何て言うの?」と尋ねると、
その会話中には「やっぱりビサヤ話さなきゃネ」、
そんなニュアンスが含まれています。
ヘッポコ英語で話しかけていた頃は、
皆「英語話せればノープロブレムダネ」と言ってましたが、
やはり、母語では本音が出るようです。
まぁ、日本在住の外国人が、もし日本語を練習し始めたら、
周りは同様の反応するでしょうからね。
20:30
最近通い始めた、
歩いて10分、サブディビジョン外れのBBQショップ、
テキトーな焼きトン、手作りソーセージ他をオツマミに、
隣のサリサリストアでビールを買い、持込み(けっこう一般的)、
困るのは、ここで売っているのは、1リットル瓶のみ(笑)
他がいる時はいいのですが、一人の時は、
ちょいと多いかなぁ、と。
二本目いっちゃった時に(笑)
その通りになり(笑)、
ほろ酔いでグリーンベルト舗装路を歩いていると、
スクワッター(違法居住)ゾーンに住んでる、
ピーター(男子11歳)が近づいて来ます。
ピーターはスクワッターには多い、学校を休みがちな子、
クリッとした目でニヤニヤしながら、
ボクにビサヤ語でエッチな言葉や、キッタナイ言葉を、
積極的に教えてくれようと、なかなか熱心(笑)
ビサヤ語が分からなくても、
彼の企みはボクには分かります。
人間、長くやってますからね(笑)
とはいえ、憎めないヤツでもあったり。
ピーターはボクの目の前まで寄って来て、
そのまま、そっと抱きついてきます。
ボクは一瞬とまどいながらも、
ナトリウム灯の淡い黄色のライトの下、
彼の、日射しに灼かれ、
茶色に変わった髪の毛を軽く撫でてやり、
ボク「 Are you OK ? / 大丈夫?」
酔いのせいか、鼓動に合わせ、
わずかに揺れている気がします。
ピーターは身体を離し、
「 Good night 」と、彼の家の方へと歩き出し、
彼は一度だけ振り返り、手を振り去って行きます。
「 Are you OK ? 」とは訊いていますが、
そこには、「おいおい、トラブルはゴメンだぜ」、
そんな含みがあったのかもしれませんし、
ピーターはそれを感じとったのかもしれません。
彼の気持ちを理解するには、
そういう心積もりで、聞いてあげる必要があり、
そこではビサヤ語以外ありえないでしょう。
ナトリウム灯の下、
酔いは完全に醒めています。