ウタゲのお誘いをもらい、
ジムで知り合ったポール(男性46)が経営する、
レチョン・バブイ(豚の丸焼き)作業場を、訪問。

結露するサンミゲル・ライトの便をカチンと、Cheers !
写真はポールの大切な「商品」ですので、
オツマミではありません(笑)
ポールは翌早朝3時に、60キロ離れたファームへ、
子ブタの買付に行くため、早々と「じゃ、おやすみね~」と、
作業場敷地内にある自宅へと。
続いて「じゃ、ボクも、そういうことで」と、トンズラを(笑)
の、はずでしたが、ポールの弟ネイサン(30代)が、
人懐こそうな笑顔で「バー行こうよ、近くだからさぁ」と肩を組んできて、
自身と、作業者2人を指差します。
ボク「ぁ~、逃げそこなっちゃったなぁ~」と、ココロの中で(笑)
男性4人、軽く酔った足どりで、
ハイウェイ沿いの、最近建った3階建てのアパート、
その1階角、コンビニのようにガラス張り店舗を、
その場の思いつきで内装した感じのバーへと(笑)
ガラスのスイングドアを押すと、
ボクたち同様、ヒマな軍団がガヤガヤやってます。
今、買って来たような、木のスツール、
今、買って来たような、木のテーブルのセット、
脚の長さか、床の水平がでてないのか、
グラつきます(笑)
店内縁取るようにソファーとローテーブルが並び、
その隅で、盛り上がる男性3人、
1人はローカルのフィリピン人、
2人は濃い肌色のインド人。
インド人の1人がスマートフォンの写真を見せて、
3人で声をあげての大笑い、
暗い照明に、インド人の白目と、歯が浮いています。
サンミゲル・ライトを手に持ったネイサンが、
「オレはあいつら気にいらねぇな」
ついさっきまでの笑顔は、刺すような目つきに、
ボク、ぁ~、メンドーくせぇなぁ、と。
街中で見かけるインド人は、お金にルーズなフィリピン人への、
金貸し業をしている者も多く、一般的に「好かれていません」
この夜、ネイサンの酔い心地をさますばかりか、
怒りにも触れたようで、
ネイサンはもう一度、「オレはあいつら気にいらねぇ」と、
彼らに向かって歩き出し、
横に座ってサンミゲル・ライトを持っていたボクは、
慌てて瓶をテーブルへ置き、
ネイサンの胴へ右腕を巻き、締め上げ、
「 Take it easy ! Take it easy ! / 落ちついて、落ちついて」、
同行の作業者2人も両肩を前から抑えます。
ネイサンはインド人たちに向かって、
ビサヤ語で何か叫び、
即、インド人の1人が、人差し指をネイサンに向け、
ビサヤ語で言い返し、同時にもう1人の大柄なインド人が、
仲間を羽交い、彼らの言葉で「落ちつけ」となだめます。
インド人、今度は英語で、
「 Don't under estimate me /なめんなよ!」を繰り返します。
羽交いにされた彼は、前のめりになりつつ、
もがき、赤いポロシャツの襟元は引き下がり、
そのV字の間には濃い体毛が見えます。
under estimate 、とは「見下す」という意味、
彼がこの国で、幾度もココロの中で、
あるいは、堪えきれずに口から出た言葉。
ネイサン「 Go back your country !/お前の国へ帰れ」
インド人「オレのワイフはフィリピン人だ!
オレはもうフィリピン人なんだ!」
ネイサンの喉がゴクリなり、
力が抜けるのをボクは右腕に感じ、
彼は、手で軽くボクの腕をたたき、
「オレはもう大丈夫だよ、大丈夫だから離してくれるか」と、
ボク「ほんとに大丈夫?」
ネイサン「大丈夫だ、約束するよ」
ネイサンはインド人へ向かってゆっくり歩き、
インド人も羽交いしている仲間へ何か伝へて、
羽交いをとかれ、
歩み寄ったネイサンから右手を差し出し
インド人がそれを受け止めます。
ネイサン「アイムソーリー、アミーゴ」と、
左腕で彼を抱き寄せ、彼も応じ左腕を廻してきます。
インド人、静かに「 Don't under estimate us /
オレたちを見下さないでくれよ」
ネイサンは、
しっかりと一度だけうなずきます。