時計の読み方を習うのは小学一年生だったと思います。
円の中に針が二本、長さも違う針が。
長い針は短い針を追い越して行き、短い針はゆっくり。
1から12 までの数字が円を縁取るよう均等に並び、
二本の針の位置で時間が分かります、他の生徒には。
ボクは時計が読めるようになったのは、クラスでビリです。
1年4組、生徒42人中42番目。
担任の大石先生(女性25歳)がベニヤで出来た緑色の時計を、
ボクの前へ置き、ヒントを出してくれながら、
先生「短い針が5と6の間でしょ、長い針は6、どうかな?」
ボクは最初に先生を、彼女の目を見つめ、時計を、
そして硬質合板の机の天板へ目を落とし、
ボク「先生、分からないよぉ」小さな声で。
この翌年、結婚され名字が変わったことに、
ちょっぴり嫉妬するくらい大好きな大石先生。
その先生をがっかりさせた、自分が情けなくて、情けなくて。
「大石先生、今は時計が読めますよ!ご安心下さいね(笑」
セブ島タリサイ市、スクワッター(不法居住)ゾーンの子供たち。

街路樹の椰子に、勝手にバスケットリングを釘打ちしてます。
落ちるなよー!(笑
1年ほど前、
17:00 タリサイ市のエンガチョなビーチ
顔見知りになったスクワッターゾーンの子供たちが集まって、
「名前は?、どこに住んでるの?、クリスチャン?、ミドルネームは?」と、
「結婚してるの?、子供はいるの?」
腰まで海に浸かるなか質問が続き、一つ一つ大声で応えます。
そしてよくある「コリアーノ(韓国人)?」には、
親指を自分の胸に当てて、
「ノー、アイアム、ジャパニーズ!」と訂正。
「フィリピンは好き?」
今のところ、この質問には、
「 I am trying .(頑張ってるよ) 」と、
Yes、No、では応えません。
5歳のエド(男子)が水深にアップアップしながら、
ボクの右手と前腕を掴み、
「いま何時?」
それには年長のティーウィ(男子11歳)が「5時15分」と。
全員「おおーっ」
そしてまた質問が「誕生日いつ?」心優しい小さな野獣たちは、
4,000キロ離れた赤道付近へやって来た、日本人の誕生日を気遣います。
質問は終わりです。
子供たちは一斉に、
「オレの誕生日は3月15日」
「ワタシは5月8日」、
「オレは2 月17日」と、続きます。
他のスクワッターゾーンの子供たちとも、似たようなやり取りです。
3日前、
スクワッターゾーンの小さなチャペル、その前にグラつくベンチで、
3月半ばのパレードでミス・スイス役をやったチェルシー(11歳)が、
ボクの隣へ腰掛け、ボクのスネ毛を摘んで抜きます(笑)
ボク「いてぇーだろーが、ボケナス!」と空手チョップ!(真似だけです)
と、チェルシーはボクのカシオ電波ソーラーを指差し、
チェルシー「ウォータープルーフ?」と。
周りの子供たちは「ウォータープルーフってなに?」
チェルシーは軍団へ自慢気に説明します。
可愛らしいチェルシー、モデルにもなれそう。
声のボリュームが1/3ならば(笑
そしてもう一度ボクに「海の水でも?」
ボク「Yes 」
軍団「おおーっ!」
防水の腕時計、しかも塩水でも大丈夫な、日本から来たモノ。
スクワッターゾーンの子供たちで時計をしている子はなく、
家にもないかもしれません。
あったとしても、針はずっと前から止まったまま。
海で時間を訊いた子供たちは、
時間が知りたいのではなく、
時計が動いているか確かめ、
その持ち主へ、
「誕生日のプレゼント、
ヨロピクねぇ~!」(笑