本日の東京新聞に掲載されました。
相模原・障がい者殺傷事件を受けて、えりのあインタビューです。
残虐な事件で、二度とあってはならない。
今回の事件をきっかけに、みんなで考えなくては。

東京新聞インタビュー記事
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201608/CK2016080402000162.html

相模原・障害者殺傷事件を受けて シンガー・ソングライター えりのあさんに聞く(上)

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◆触れ合いが共生の第一歩

 相模原市の障害者施設で十九人が刺殺され、二十六人が負傷した事件は、社会的弱者といわれる障害者に刃(やいば)が向けられた。「共に生きる『共生』の輪を広げたい」。県内を拠点に活動するシンガー・ソングライターえりのあさんは、自らも福祉の現場に身を置き、高齢者や障害者と接している経験から、こんな思いを社会に発信し続ける。事件を受けて障害者への思いを聞き、共生への道筋を二回に分けて探る。 (藤原哲也)

 -事件を受けて感じたことは。

 障害者の人たちが事件を知って、自分の存在を追い詰めてしまうのではないかと不安になりました。「障害があるから生きなくていい、死んだ方がいいのではないか」と。障害者の中には感情豊かな人もいれば、不安症の方もいる。容疑者は声を出せない人を狙ったようだけど、自分の思いを持っている人がほとんどです。

 あの施設の入所者に限らず、別の施設にいる人も、事件を知って職員との信頼関係が揺らいでしまうのではないかと、心配しています。

 -社会に残る障害者への差別的意識も浮かび上がったが。

 障害者や高齢者を街に連れて行くボランティアをしていると、偏見の目はまだ感じます。厳しい目線や、不愉快な言葉を掛けられたりすることもありました。

 また、私のライブに来る障害者が奇声を発したり、静かな曲で声を出したりします。ただ楽しいだけなのですが、周囲が冷たい視線を送るので、連れてきた家族が気遣って外に出てしまう。全てを理解して受け入れていく態勢をつくらないといけないと思います。

 -日常の活動で、「共生」の輪を広げたいと常々発信しているが。

 小学生時代に担任の先生が企画した、障害のある同学年の子どもとの交流会が原点です。普通に接することができて、障害のある人も自分と同じだと思った。そのようなきっかけがないと、今の子どもたちも障害者にどう接すればいいのか分からないと思う。触れ合いが共生の第一歩ですね。

 それは大人も同じ。介護に通じる「目配り、気配り、心配り」ではないけど、街で困っている人を見かけたら手を貸すか、声を掛けるか大人なら判断できる。その姿を子どもに見せていくことが大事でしょう。

 -今回の事件を社会はどう乗り越えなければならないと考えるか。

 社会全体の流れ、雰囲気を変えていかなければならないと思います。私のイベントにボランティアで参加している人も、最初は障害者との接し方に抵抗があったらしいけど、専門の人に教えられて学ぶと、その人が別の人に教えられるまでになった。

 障害のある人は自分らしさがあって、型にはまらず生きている人が多いと感じる。絵を描いても素晴らしい作品だし、表現力が豊かですから。そのような長所を私たちも学びながら成長できればと思います。

 <えりのあ> 福島県双葉町生まれ。国際医療福祉大への進学を機に、大田原市へ移住。社会福祉士、介護福祉士の資格を持ち、現在も音楽活動と並行して介護の仕事を続ける。CDやグッズの売り上げで車いすなどを贈る「えりのあ福祉基金」を設立し、2008年から毎年、福祉施設への寄贈を続ける。本紙栃木版でコラム「えりのあ とちぎ元気アップ」を連載している。