なにごとも練習というものは、とても地味で地道なものですね。
楽器演奏というと華やかさなイメージばかりが先行しますが、実はとても小さな努力の積み重ねがあってこそ。
発表会など人前で演奏する姿のウラに、たくさんの試行錯誤と挫折があります。
…と、しょっぱなからド直球で申し上げましたが、それは最近特にそれを痛感しているからなのです。
えみちゃんこと中嶋恵美子先生のお家のクラヴィコードで練習させてもらうたびに、非常に繊細なタッチを求められることを感じます。
ほんのワンフレーズ、いやほんの一音さえも、美しく響かせるのは本当に難しいことです。
クラヴィコードで練習することは、モダンピアノで演奏する際にとても役立ちます。
とっても不思議な、クラヴィコードとモダンピアノとの関係性。ただし、クラヴィコードの奏法とモダンピアノの奏法は違います。
クラヴィコードの発音原理はピアノとは大きく異なっています。フォルテピアノでは通常は皮革(鹿皮)、モダンピアノはフェルトなどが巻かれたハンマーが弦を叩くことで発音するのに対して、クラヴィコードは、鍵の先に直接取り付けられた金属製のタンジェントで弦を押し上げて発音。ごくごく単純なアクション機構であり直に弦を弾いている感覚が奏者に対して伝わりますが、楽音を発音するにも一定の習熟が必要で、それ故きわめて自然に自分のタッチを意識させられることとなる。
モダンピアノではできない表現がクラヴィコードでできたりもして、とっても面白いです。
まず、オーバーレガートを活かす演奏ができると、モダンピアノでダンパーペダルを使用して得られる効果とはまた全然違って、透明感のある素敵な響きになります。伴奏形によってはベース音を保持音として楽譜に提示されているよりも長めに伸ばしつつ演奏するのも効果的!さらには、鍵盤楽器の中で唯一「ヴィブラート(べーブング)」がかけられる特徴を持っています。
小さな楽器だけれど、このなかには無限の宇宙が広がっている気がするんですよ。
…またまた…アツく語ってしまっています(^_^;)。
みなさま、意味がわからないところもあるとは思いますが、これは実際にこの楽器に触れてみないと心に響いてこないとおもいますので、ぜひぜひ中嶋先生と連絡をお取りになって、クラヴィコード体験してみてください!
詳しくはこちら!
先日生徒さんも、えみちゃんのところでクラヴィコード体験をさせてもらいましたが、やはり「これは触れてみないと実感できませんね!」「そして思うようにいい音が出ないけれど、でもそこが面白い!」と喜びのご感想をいただきました。
また他の生徒さんとも、連れ立ってクラヴィコード体験に行こうと思います。
さて、ここからは私が先日えみちゃんのお家へ単独で練習でお邪魔させてもらった時のこと。
午前中2時間ほど、お昼はえみちゃんとご飯食べに行って♡~午後はまた2時間練習させてもらいました。
クラヴィコードは、打弦後そのまま鍵盤から指を離さずにタンジェント(真鍮板)を弦に密着させていないと音価分の良い響きが保てません。アーティキュレーションや音価を意識して短めに響かせる場合も、指先のコントロールは細心の注意を払っていなければなりません。
タッチが繊細だからといって、手首や肘を固めて指を降ろす…のはダメですね。手首が固まって鍵盤を手首ごと押すみたいなのは言語道断。
手首も腕も柔らかくふわっとした状態で鍵盤の上に軽く載せます。鍵盤に5指を密着させておいて、一音ずつ発音…その時には各指の付け根、第一第二関節全ての支えを忘れず、鍵盤を打つ速度は俊敏に正確に。鍵盤の深さはモダンピアノの約半分。モダンピアノは1㎝ですから、クラヴィコードはその半分ほど深さのなかでできるだけ表現力を付けなければいけません。
さて、そんなわけで、長い曲の中で部分練習をするより効果的だよ~とえみちゃんに勧められたのがこちら。
コルトーのピアノメトードより、冒頭の数ページを使って保持音とその隣り合った音たちをいい発音で弾く、と言う目的で練習しました。
いやでもこれは、モダンでやってもゆっくり時間をかけて慎重に~の練習です。
クラヴィコードでやってみたら、これはこれで超難しい。
なにせ、まずは鍵盤と指を密着させて打弦する鍵盤を操作する指のみを、第1,2,3の各関節をそれぞれの役割を意識して動かす。
その時、保持しているいくつかの音は無駄な力は抜いてバランスよく保たないといけない。
動きは超ゆっくり、片手ずつ、何度も何度も。
クラヴィコードでの良い音が出せるように、よ~く耳を澄ませます。
フォルテピアノ全般に言えることですが、一台一台製作された時代も違えばお国も違う、もっと言えば製作者によっても同じものができないのだから、演奏する側がその特徴を即座に掴み、楽器の個性と良さを出せるようにするというのは至難の技。
比較的音の出し方や求められるタッチは画一化してきているモダンピアノと比較してみると、同じ鍵盤楽器なのにずいぶんと個性が強くて綺麗な音で一音響かせるのも難しい。
でもね、これがね、試行錯誤してあーだこーだと、良い音とは何かについて頭の中をフル回転させながら、むり~ィ!とのけ反り返って悶絶している間も、ぜ~んぶ含めて、とっても充実して楽しいんです。
みなさま、ぜひぜひ私のようにむかしむかしの楽器に触れてみませんか?
博物館で見学はできるものですけれど、実際に自分が弾ける機会や場所はほとんど皆無ですよね。
中嶋先生は、「ぜひ弾きにいらしてください」とおっしゃっていますから、
この際勇気を出してお問い合わせしてみてください!
地味に、地味に。一音ずつ。
できなくても、ちょっと休憩してから地道に、地道に。
一日で進んだのがたったワンフレーズでも一小節でも、一音でも…!
自分の耳を澄まし、納得できる音が出せたという喜びを、ぜひご一緒に味わいたいのです♪
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