生徒さんのために、良くお手本を録音します。
新曲の練習に活かせるようにとレッスン内で私の演奏を
録音or録画してもらいます。
ヴォイスレコーダーやスマホなどに、次なる課題を何曲か。
初めて取り組む課題には、やるべきことが山積です。
まず曲そのものの全体像を知らねばなりません。
何度もお手本を聴き、楽譜を読み、階名で歌い、片手ずつ弾く。
両手でスラスラ通せるようになるまで、何度でも録音を聴いて
参考にしてくれたらいいなと思うのです。
ただ、お手本の録音&録画の影響も、良いことばかりでは
ないですね。
私のコピーになっては意味がないですから、そこは気を付けて
いるつもりです。
大事なのは、生徒さんが自発的に良い音を探し、音楽を自分の
力で作り上げられるようにすること。
私という存在は、そういう力を育てるためにお手伝いをするだけ。
私の演奏が絶対ではないし、必ずしもその生徒さんの力量に合う
ものでもないかも知れないですから。
音を紡ぐという不確かな作業を、楽しんでできる人になりますように。
ですから、たとえば敢えて「お手本を録らない」時期も作ります。
昨日レッスンの高校1年生のSちゃん。
彼女は、勉強もたくさんしなくてはいけないクラスに所属。
部活は強豪チームとして有名な、ある運動部。
毎日帰宅が遅く、へっとへとになって帰ってきます。
でもピアノが好き。音楽が好き。
学年のピアノの伴奏を任されることも多いSちゃんです。
そのど根性、素晴らしいですね。
高校生になったことで、さらに勉強も難しくなってきて、
ピアノの練習時間を確保するのがこれまた難しいようです。
でもね、できるときに練習できるはず~ということも、私は
わかっています♡
彼女は今、基礎練習のほかに趣味のピアノとして好きな曲を
課題にして取り組んでいます。
今弾いているのは「ハウルの動く城」より、「人生のメリーゴーランド」。
楽譜は、彼女が楽器店で選んできた中級くらいのレベルのものです。
何かと忙しい彼女ですので、あまり長くてちょっとじっくり練習しないと
いけないものは宿題に出したくないのですが、今回はSちゃんの
「ど・う・し・て・も♡このバージョンを弾きたいんです。」
の熱意のもと、
「そうか。結構長いけど大丈夫?できる?」
と問うたところ、
「はい。自分で選んだ曲ですから!やります♪」
…ということで、頑張っているのです。
飲み込みの早いSちゃんのこと。
練習時間はあまり確保できないけれど、少しずつですが
ピアノの腕も上がって来ています。
お手本に頼って練習することがこれまで多かったですが、
この曲に関しては最初から自力でやって欲しいと思い、
お手本を録りませんでした。
レッスンでは指導するために弾きますが。
さて、お手本がなくてもモチベーションを維持して自分で
音楽を作り上げられるかどうか…。
Sちゃん、実力をアップできるチャンスだよ。
どんな音で、どんなテンポで(この曲はテンポがかなり変化します)、
演奏したら一番良いのか、しっかりと考えながら練習してくださいね。
糸を紡ぐように、少しずつ少しずつ音を紡ぐんだよ。
それは自力だととても時間のかかるものだけれど、
一つの音楽が出来上がった時、一番嬉しいのは
Sちゃんだから。
たくさん間違えて、たくさん迷って、練習してください。
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