苦情対応の真髄はデパ地下女子が教えてくれた | 苦情対応は「引き分けで勝ち点1、八百長なら勝ち点2」

苦情対応は「引き分けで勝ち点1、八百長なら勝ち点2」

苦情受付係を担当した経験から、苦情を受け止めつつ、自身は必要以上に傷つかずに「聴く」方法を研究。
「苦情には勝たない」。これがゴールへの最短ルートと確信しています。

「苦情の元になった問題はまったく解決されていなくても、ゴールにはたどり着くことができる」。
私は、こう思います。

なぜなら、デパートの地下でケーキを売っていた20歳代の若い女性(以下、デパ地下女子)が気付かせてくれたからなのです。



ある日、私は新幹線の時間を気につつ、あるデパ地下でケーキを買うために順番待ち。


急にお客が増えたために順番待ちの明確な列ができず、20歳代の女性が秩序が保たれるように注文を受けていました。


しかし、私の頭越しに注文をするお客が現れ、一瞬にして場は凍りつきました。


声のした方向に視線を向けようとする私に対し、間髪いれずにデパ地下女子の言葉。


低く丁寧な声で「お客様。申し訳ございません。次は、必ず、お客様のご注文を承ります」。


続けて「その次はお隣のあなた様のご注文を必ず承ります」と次々と他のお客にも説明。


新幹線に乗り遅れるかもしれない、順番を抜かされたという現実はまったく変わっていません。


にもかかわらず、順番待ちをしていたすべてのお客の損ねた感情を、一瞬にして修復。


大して傷付いたこともない私ですが、「『癒やされる』とはこういうことか!」と感動したものです。ニコニコ


声かけの絶妙なタイミングを思い出し「神か! デパ地下女子!」と心の中でツッコミを入れて帰路につきました。


密かな嫉妬心を抱きつつ。新幹線に乗り遅れながら。



彼女のすごいところは次の3つだと思うのです。


①お客に安心感を与えた。

②お客(私)の反応を見逃さなかった。

苦情を未然に防ぐ立ち振る舞いが身にしみついている。



もしも、問題解決が「絶対」ならば、苦情対応においてそのほとんどがゴールにたどり着くことはできません。


解決することができない問題、人の主観から生じた苦情がじつに多いからです。


だから「苦情の元になった問題の解決は二の次にして、まずは損ねた感情を修復する」ことが、私の軸になっているのです。