びょうそくで司法試験(労働法1位 論文36位で合格した秘訣)

びょうそくで司法試験(労働法1位 論文36位で合格した秘訣)

 加藤喬(かとうたかし)
 青山学院大学法学部
 慶應義塾大学法科大学院
 平成26年の司法試験合格後、資格スクエア・株式会社BEXA・辰巳法律研究所
 にて、労働法と基本7科目について徹底した過去問分析に基づく実践的な司法
 試験対策講義を実施。

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 ”司法試験の憲法の論文対策”として、インプット面でどこを勉強すればいいのかというご質問を受けることが多いです。

 

 これまでの傾向や合格ラインを踏まえて、憲法で合格答案を書くために必要とされる知識について、記事にさせて頂きます。

 

 私が考える、憲法で合格答案を書くために必要とされる知識は、以下の通りです。

 

 なお、本記事は、人権の分野に限ったものとなります。

 

1.人権の定義、保障の内容、保障の趣旨

 (1) 人権の定義は、例えば、「『表現の自由』とは、伝統的には、思想・意見を外部に発表し他者に伝達する自由を意味する」といったものです(なお、現在では、「伝達」まで保障されることに、あまり争いはありません。)。

 

 『表現の自由』が、伝統的には、思想・意見の表明行為を念頭に置いてたものであることから、報道機関が事実を報道すること(博多駅事件決定)や、公道から当該地域の路上風景を撮影したZ機能画像をインターネット上で提供すること(平成23年司法試験)も『表現の自由』として保障されるのかが問題になるわけです。

 

 このように、人権の定義を理解・記憶しておくことは、判例の理解に役立つとともに、問題分析の際の問題の所在を発見することにも役立ちます。

 

 (2) 保障の内容は、例えば、『信教の自由』の保障内容は、信仰の自由・宗教的行為の自由・宗教的結社の自由に分類される、といったことです。

 

 これも、論文で書きます。

 

 例えば、過去の採点実感では、「憲法23条・・・が規定する学問の自由の中に学問研究の自由が含まれることの解釈を書くもの…も散見された」(平成21年採点実感)とあります。

 

 (3) 保障の趣旨は、表現の自由の自己実現・自己統治の価値、歴史的沿革(19条が設けられた経緯など)などです。

 

 これらは、保護領域の確定・拡張、憲法上の権利に対する制約の肯定、審査基準の定立過程など、様々な場面で使います。

 

 

2.人権(制度)ごとの正当化審査の方法

 

 (1) 審査基準を使う人権については、審査基準を定立する際の基本的視点を踏まえつつ、人権ごとの審査基準の導き方についても、ある程度正しい知識を持っておく必要があります。

 

 「権利の重要性、権利制約の態様・程度、裁判所の制度上の能力」という、審査基準を定立する際の基本的視点(論点教室4~7頁参照)は、全ての人権との関係でそのままの形で使えるわけではありません。

 

 平等権、財産権、選挙権のように、試験的に重要であり、なお且つ、審査基準の導き方が(やや)特殊な人権については、人権ごとの審査基準の導き方を整理しておくことが望ましいです。

 

 (2) また、政教分離、憲法31条以下の準用・類推、生存権(できれば、憲法26条も)など、通常の自由権規制の場合とは違憲審査の方法が異なる人権・制度についても、判断枠組みとその定立過程について、最低限の整理はしておくべきです。

 

 

3.違憲審査基準の意味

 違憲審査基準は、厳格度に応じて、厳格審査の基準、中間審査の基準(通常審査の基準)、合理性の基準に分類されるのが通常です。

 

 各々の基準の意味を正確に理解する必要があります。

 

 (1) 例えば、厳格審査の基準/中間審査の基準では、目的・手段の双方について、立法事実による支えが必要とされます。

 

  その上で、厳格審査の基準と中間審査の基準では、要求される立法事実の客観性が異なります(岐阜県青少年保護育成条例事件の伊藤正己裁判官補足意見を参照。)。

 

 (2) また、厳格審査の基準の目的審査でいう「必要不可欠な利益」(やむにやまれぬ利益など、他の表現もあり)は、他の基本的人権のレベルの利益を意味すると理解されています(論点教室14~15頁)(ない、他の基本的人権そのものに限られるわけではありません。例えば、公職選挙の公正も含まれます。)。

 

 これに対し、中間審査の基準の目的審査でいう「重要な利益」は、制約されている憲法上の権利との比較による相対的な重要性を意味すると理解されています(論点教室14頁、平成30年出題の趣旨)(なお、相対的重要性という考えを否定する見解もあるようです。)。

 

 例えば、平成23年司法試験では、中間審査の基準を用いた上で、目的審査において、Z機能画像の価値とこれにより侵害されるプライバシーの重要性の比較衡量を行うと、題意に沿った答案になると思います。

 

 (3) さらに、厳格審査の基準と中間審査の基準では、手段の必要性の審査も異なります。

 

 厳格審査の基準では、より制限的でない他の手段は、規制目的を達成できるだけで足ります(この意味で、法令上の手段は唯一の手段でなければなりません。)。

 

 これに対し、中間審査の基準では、より制限的でない他の手段は、法令上の手段と同程に規制目的を達成できることまで要求されます(例えば、髙橋和之「体系 憲法訴訟」233頁)。

 

 そのため、中間審査の基準では、より制限的でない他の手段の有効性が法令上の手段に劣るのであれば、そのような他の手段の存在によって手段の必要性を否定することはできません。

 

 なお、中間審査の基準に属する、手段の実質的関連性の審査では、LRA審査は行わない(手段と目的との直列的な因果関係だけを問う)という理解もあります(例えば、赤坂正浩「憲法講義(人権)」28頁)が、手段の実質的関連性の審査でもLRA審査が行われるとする理解(例えば、渋谷秀樹「憲法」717頁、髙橋和之「体系 憲法訴訟」233頁)もあります。

 

 試験的には、後者の理解で良いと思います。

 

 (4) より制限的でない他の手段の存否を検討する際には、他の手段の具体性、有効性(厳格/中間で程度が異なる-3(3))に加え、実現可能性まで要求されます(平成28年採点実感)。

 

  つまり、他の手段は、実現可能性のない、机上の手段にとどまるものであっては、ダメだということです。

 

 (5)なお、三者間形式の問題(平成18年~29年)では、違憲筋の法令・処分が問題となることが多かったですが、意見書形式の問題(平成30年)では、合憲・違憲いずれの筋も十分あり得る出題がされる可能性が高いと思われます。

 

 そうすると、三者間形式の問題ではあまり使う機会がなかった、合理性の基準(さらには、明白性の審査)も使う機会が増えると思います。

 

 そのため、合理性の基準の基準などについても、正しい適用の仕方について、最低限の理解はしておくべきです。

 

 (6) このように、違憲審査基準の正しい適用の仕方を正確に理解していると、当てはめの正確性が高まるだけでなく、当てはめのネタが思いつき易くなり、当てはめがだいぶ楽になります。

 

 

4.超重要判例

 参考判例を踏まえた論述が重視されている出題傾向は、今後も続くことが予想されます(なお、参考判例を踏まえた論述は、かなり初期の問題から重視されていました。)。

 

 もっとも、過去の出題を見る限り、少なくとも、100番くらいに入るために必要とされる判例知識は、そこまで多くありません。

 

 合格水準として必要とされる判例知識であれば、もっと少なくなります(それとともに、要求される正確性も低くなります。)。

 

 大法廷判決・大法廷決定を中心として、20個くらいであると考えます。

 

 そして、判例知識は、答案で使うために身につけるものです。

 

 そのため、深いことをやるというよりは、多くの受験生が知っている/見たことがある判例理論などについて、「要するに~~ということ」というように、簡潔に紹介できるようになる勉強を優先するべきです。

 

 また、判例学習をする際には、事案を跨いでも使えるような汎用性の高いものから優先的に習得していったほうが、効率が良いです。

 

 

5.最後に

 「合格答案を書くために」という控えめな言い方をしましたが、上記1~4の知識が不正確な受験生答案が本当に多いです。

 

 憲法の知識がないというよりも、出題傾向や現実を踏まえない闇雲なインプットにより、使わない(出題傾向に沿わない)/使えない(身の丈に合っていない)知識に埋もれてしまっている感じがします。

 

 現状として、問題文の読み方/答案の書き方の作法も身についているのであれば、上記1~4だけで、2桁も目指せると思います。

 

 1~4のうち、優先するべきは、1~3です。

 

 4は、1~3に比べて、基本的に汎用性が乏しいため、1~3(さらには、問題文の読み方/答案の書き方の作法)を身につけてからでも良いと思います。

 

 現状として、4がなくても、合格答案を書くことが可能であると考えています(※4をやらなくて良いという趣旨ではありません。)。

 

 なお、”予備試験”の場合、司法試験に比べて判例の出題範囲が広いです。

 

 そのため、今回の記事は、”司法試験の憲法の論文対策”としてのものに、限らせて頂きます。

 

 参考にして頂けますと幸いです。

 

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